医師に「有効な治療法はない」と言われた… 誤解してほしくないその言葉の真意とは? (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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医師に「有効な治療法はない」と言われた… 誤解してほしくないその言葉の真意とは?

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狩生聖子週刊朝日

イラスト/CHARAPHIC LAB Co. Ltd.

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「がんが治ると言われたのに、再発した」「ステージIVと言われた。もうなすすべがない」。医師からのこうした言葉にショックを受けた、というがん患者の話をよく聞きます。しかし、言葉の意図を医師に確認すると「そんなことは言っていません」ということが多いのも事実です。患者の理解が不足する背景には、医師とのコミュニケーションが不十分で「がん用語」に対する誤解を是正できないことがあります。好評発売中の週刊朝日ムック「がんで困ったときに開く本2019」では、がん患者や家族が誤解しがちな代表的ながん用語について、専門家に正しい意味を解説してもらっています。ここでは、「有効な治療法はない」について紹介します。

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「有効な治療法がないからといって、患者さんを見放すということは絶対にありません。ただ、薬物療法の効果が次第になくなり、副作用だけが強く出てきてしまう場合や、患者さんの体力が低下していて治療によって逆に命が縮んでしまったり、思わぬ副作用が出る恐れがある場合は、あえて、『もうあなたにメリットがある化学療法はないと思います』と言うことはあります」(東京女子医科大学病院がんセンター長の林和彦医師)

 林医師によれば、患者にとって何の治療もしないということは、非常につらいこと。「抗がん剤を使い続けたい」と希望する人が多いのはこのためです。

「そのつらさはわかるのですが、戦いでも敵に1万人の兵隊がいるのに、素手で行ったらすぐにやられてしまいます。それなら、ジャングルに隠れて体力を温存しているほうが、生き延びられる可能性が高い。実際には抗がん剤などが使えなくなっても、生活の質(QOL)や予後(治療後の回復見通し)をよくするためにできることはたくさんあります」(林医師)

■緩和ケアで予後が改善

 生活の質や予後をよくするためにできることの一つが緩和ケアです。

「早期から緩和ケアをおこなうことで生存率が上昇する、という研究報告もあります。がんにより消化管が狭くなって食事ができない人におこなう緩和的QOL手術もその一例です。手術で自分の口から食べられるようになると、体力がつき、予後もよくなります。がんそのものの治療には有効な手立てはなくても、患者さんの困難に応じてさまざまな治療があるのです」(林医師)


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