24日に東北地方に視察に出かけていたある前日の若手との懇談の盛り上がりを聞いていた幹部は、竹下亘総務会長と出くわし、「うちの岸田をぜひ、よろしく」と頭を下げたという。

 その後、ニュース速報で岸田氏の出馬見送りを知ったという。

「事前に何の連絡もなく、ニュースで岸田氏の出馬見送りを知った幹部は慌てて東京に戻ってきたそうだ。向こうで昼食をとる予定までキャンセルして帰ってたとか。『どうなってんだ』とぶぜんとしていた」(自民党幹部)

 すでに、安倍首相の派閥、細田派に、麻生財務相の麻生派、二階幹事長の二階派が安倍支持を表明。そこへ岸田派が加わると、国会議員の数では3分の2近くになる。

 石破茂元幹事長が出馬するとみられ、一騎打ちになるのではないかとの見方が強い。

 野田聖子総務相も、かねてから、出馬に強い意向を見せてはいるが、仮想通貨ビジネスに関連し、その運営会社の担当者と金融庁との面談をセットして、自身の秘書を同席させた疑いが浮上している。

「仮想通貨取引をするには、仮想通貨交換業の認可を受ける必要がある。

 しかし、その運営会社は金融庁から認可を受けていなかったため、野田大臣の威光をバックに、金融庁に圧力をかけたという疑いも生じる」(自民党幹部)

 これまで、安倍首相は9月の自民党総裁選で「石破氏との一騎打ちは避けたい。ガチンコだとしこりが残る」(細田派の国会議員)といい、第3の候補を模索していた。

 総裁選出馬には、20人の国会議員の推薦人が必要だ。

 それを安倍首相、いわば官邸で用意して、出馬させることも視野に入れていた。その筆頭格が野田総務相だったが、今回のスキャンダル報道で「野田氏は推薦人を集められないだろう」という声が党内で出ている。

 当初は、同じ細田派の西村康稔官房副長官も候補だったというが、西日本豪雨災害の際に「赤坂自民亭」の飲み会写真をSNSにアップしたことでこちらも消えた。

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