自民党総裁選への不出馬を会見で表明した岸田文雄政調会長 (c)朝日新聞社
自民党総裁選への不出馬を会見で表明した岸田文雄政調会長 (c)朝日新聞社
河野太郎外相 (c)朝日新聞社
河野太郎外相 (c)朝日新聞社

 9月の自民党総裁選に立候補が取り沙汰されていた、岸田派の岸田文雄政調会長が24日、出馬を見送ることを表明した。

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「まさか、こんなタイミングで断念するとはね…」と驚きを隠せないのは、岸田派の若手議員。

 岸田氏は、出馬見送りを表明する前日の夜、東京都内で行われた自派閥の若手議員の飲み会に顔を出していた。

 普段は、派閥の会合でも自らが語ることは少ないという岸田氏だが、この日は違った。

「岸田先生から、積極的に政治とは、自民党とはなど、派閥の親分にふさわしい、天下国家を語るシーンもあった。先だっての派閥の会合でも、若手議員からは『ぜひ出馬を』と要請されていたこともあって、『これで腹を決めた』『ついに決起だ』とみんな思い、派閥内にそんな情報が駆け巡っていたのです」(岸田派の若手議員)

 岸田氏が若手との飲み会から抜けたのは夜8時前だったという。

 その後、君子豹変する出来事があったという。

「岸田氏はその後に急きょ、安倍(晋三)首相に連絡をとったようだ。

 その場で、9月の総裁選で安倍首相の支持を伝え、今後も支えていくつもりだと伝えた。安倍首相も岸田氏が出馬となれば地方票が割れて、どうなるかわからないと危惧していただけに、感謝の意を伝えたそうだ」(自民党幹部)

 そして、岸田氏は最後に岸田派名誉会長(宏池会名誉会長)の古賀誠元幹事長と連絡をとり、出馬しない意向を伝えたという。

「古賀氏は主戦論を唱えていたが、岸田氏はかつて自分の親分だった加藤紘一氏の“加藤の乱”の失敗を目の当たりにしたトラウマから最後まで決断できなかった」(自民党幹部)

 しかし、岸田氏の豹変を知らぬ岸田派の一部は“主戦論”で盛り上がっていた。

 そこに、テレビが速報で岸田氏が出馬見送り会見を伝えたので、「どうなっているんだと、騒ぎになった」(岸田派の若手議員)。

 これまで、態度を明確にしなかった岸田派には、主戦論と安倍首相支持で割れていた。その調整をさばいていたのが、岸田派幹部たちだ。

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ニュースで岸田氏の出馬見送りを知った幹部は…