元関脇の貴闘力さん
元関脇の貴闘力さん

 いよいよ国内でも大規模なカジノが実現しようとしている。政府与党はカジノ法案(カジノを含む統合型リゾート実施法案)を、この国会で成立させる方針だ。

 野党側はギャンブル依存症の人が増える恐れがあり、経済効果もはっきりしないと反対。政府与党はカジノへの入場回数を制限することなどで依存症は防げると主張。反対を押し切って、近く参院で採決するとみられている。

 依存症に苦しんだ経験者は、カジノ法案をどう見るのか。競馬や競輪、カジノなど様々なギャンブルで、5億円は負けたという大相撲の元関脇・貴闘力さん(50)を直撃した。

「国がお金を集める方法として、カジノは別に悪くはないと思うよ。運営は業者に丸投げになるだろうし、庶民としては気分のいいものではないかもしれないけどね。集めたお金は福祉や恵まれない子どものために使うといった、用途をハッキリしたらいいと思います」

 カジノそのものを否定はしない貴闘力さんだが、依存症対策には疑問を示す。カジノ法案では、入場について「7日間で3回」「28日間で10回」の制限を設けている。

「そんなのムリよ。制限なんて設けても意味ない。28日間で10回もやったら、3日に1回の割合です。それ、依存症だよ。依存症は病気だから負けても負けてもやる。取り返したいという心理で、さらにお金を突っ込んでしまう。お客さんは外国人を想定しているでしょう。正直なところ、日本人は依存症になると困るから、あんまり来てもらいたくないんだろうね」

 ギャンブル依存症を入場制限などで防ぐのは無理だと断言した。では、どうすればいいのか。

「自分で防ぐのは難しい。お金がなくなったらできなくなるので、本人にお金を持たさないようにするしかない。家族や周りはお金を求められても決して渡さない。心を鬼にしてね。カジノでお金を貸す計画もあるようだけど、それはおかしい。業者が客に貸し借りさせてまで、ギャンブルをやらせちゃいけないよ」

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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