一度塗った上に重ね塗りをして、数時間後にもう一回、重ね塗りをする(※写真はイメージ)
一度塗った上に重ね塗りをして、数時間後にもう一回、重ね塗りをする(※写真はイメージ)

 紫外線は、皮膚でビタミンDを合成するという「一利」はあっても、シミやシワ、たるみの原因になり、さまざまな皮膚や目の病気から皮膚がんまで引き起こす「百害」も確か。健康な生活やアンチエイジングには適切な紫外線防御が求められ、1年で最も紫外線量が多い7~8月はとくに、「日焼け止め剤」の活用が欠かせない。その使い方のポイントを皮膚科専門医に取材した。

【犬も紫外線で病気に… ペットの日焼け対策は?】

*  *  *

「紫外線量は毎日、10時から14時くらいにピークとなります。紫外線防御のためには、この時間帯の外出をできるだけ避け、それ以外の時間帯も含めて、外を歩くときは日陰を選ぶようにします。日傘や帽子、サングラスなどを利用し、衣服も風通しのよい長そで・長ズボンがよいでしょう。それでも防ぎきれない顔や手の甲のために、海水浴やプールで露出が増える場合は全身のために、日焼け止め剤の活用が必要です」

 ひふのクリニック人形町・院長の上出良一医師はこのように述べ、日焼け止め剤を効率的・効果的に使うことをすすめる。日焼け止め剤のうち、紫外線A波(UVA)を防ぐ効果は「PA+」から「PA++++」の4段階で示され、紫外線B波(UVB)を防ぐ効果はSPFという数値で示され、数値が大きいほど効果が高く、最強は「SPF50+」。

「これらの数値の基準になっているのは1平方センチに2ミリグラムを塗った場合。しかし、一般的な塗り方は1平方センチあたりせいぜい0.5~1ミリグラム。たとえばSPF50の日焼け止め剤を使っても、使用量が半分以下では、効果も半分以下のSPF20程度しか得られないことになります」

 したがって、一般的な使い方では、日焼け止め剤の使用で皮膚でのビタミンD合成が妨げられ、ビタミンD不足に……という事態はあまり考えられない。現在、流通している日焼け止め剤は、効果が強いほど皮膚への刺激も強いとはいえず、湿疹などの副作用の心配もほとんどないという。一般的な使い方とは、出かけるときに一度薄く塗って、汗で流れ落ちたり、衣服にこすれてもそのままか、たまに塗り直す程度の塗り方である。

次のページ
飲む日焼け止めの効果とは?