(c)朝日新聞社
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定年年齢を引き上げた主な企業の制度内容(週刊朝日 2018年7月20日号より)
定年年齢を引き上げた主な企業の制度内容(週刊朝日 2018年7月20日号より)

 個人差はあるものの、65歳を過ぎて元気な人はいっぱいいる。働き続けたい人もいっぱいいる。ところが、中小企業はともかく、大手企業では「65歳超雇用」は始まったばかりだ。どんな会社なら働けるのか。どんな条件があれば、働ける会社を増やせるのか。

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 総合建設業大手の大和ハウス工業は、世の中の流れに先駆けた人事施策を展開する会社として知られる。

 社員本人や配偶者が出産した場合、子供1人につき100万円を支給する「次世代育成一時金制度」(2005年)、各四半期に1日、有給休暇の取得を義務付ける「ホームホリデー制度」(07年)、休業期間の上限を撤廃した「期限上限のない介護休業制度」(12年)……。

「伝統」を反映してか、「65歳超雇用」でも動きは早かった。13年に、60歳だった定年をいち早く「65歳」に引き上げ、2年後の15年には65歳以降も現役として働き続けられる仕組みを作り上げた。

「アクティブ・エイジング制度」。1年ごとの嘱託再雇用ながら年齢に上限は設けられていない。働く意欲があり一定の業績を上げることができれば、いつまででも働くことができる。

「そもそもは、以前の再雇用制度で働いていた60歳代スタッフの不満がきっかけでした」

 こう話すのは、同社の菊岡大輔・東京本社人事部長だ。

 社内の声を吸い上げるシステムを通じて、「別扱いされているようで、疎外感がある」「仕事ぶりを評価されないから、やる気がわかない」などという声が上がってきたという。

「確かに、当時の再雇用は評価対象から外れていて、やってもやらなくても処遇は同じでした。65歳まで会社に残っていただくのに、モチベーションが低下したままでは具合が悪い。それなら社員として働いていただいたほうがいいとなり、定年を引き上げました」

 管理職から降りる「役職定年」を60歳とし、ラインからは外れなければならないが、65歳まで社員として働ける。処遇も引き上げた。以前の再雇用制度より1割程度、報酬をアップさせた。ボーナスを評価対象に加え、働きぶりで上下するようにもした。

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首藤由之

首藤由之

ニュース週刊誌「AERA」編集委員。特定社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー(CFP🄬)。 リタイアメント・プランニングを中心に、年金など主に人生後半期のマネー関連の記事を執筆している。 著書に『「ねんきん定期便」活用法』『「貯まる人」「殖える人」が当たり前のようにやっている16のマネー 習慣』。

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