主な脳腫瘍のできる位置
主な脳腫瘍のできる位置

 人気アイドルグループ「関ジャニ∞(エイト)」の安田章大(33)さんが脳腫瘍の一つである「髄膜腫(ずいまくしゅ)」を患い、昨年2月に摘出手術を受けていたことを所属するジャニーズ事務所が2日、公式サイトで発表した。腫瘍は良性で、摘出手術は成功。その後の経過は良好という。

 事務所の発表によると、安田さんは今年4月9日に立ちくらみが原因で転倒し、背中と腰に全治3カ月の骨折を負った。同月15日には、渋谷すばるさん「脱退」会見が開かれたが、メンバーのうち安田さんだけが欠席していた。事務所は、この骨折が原因だったと明かしている。

 現在、安田さんは完治するまでには至っていないが、体調は「順調に快方に向かっている」という。7月15日からスタートする全国ツアーも出演する予定だ。

 あまり聞き慣れない「髄膜腫」だが、実は150もの種類がある脳腫瘍の一種だ。発生する部位によって、頭痛や吐き気、視野障害や聴力低下などのさまざまな症状が表れる。いったいどんな病気なのか。ここでは、週刊朝日ムック『脳・心臓のいい病院』から髄膜腫について解説する。

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 脳腫瘍とは頭蓋骨の内側に発生する腫瘍全般のことで、種類は約150にも及びます。脳腫瘍はどの年代でも起こり、年間1万人に1人程度が発症し、加齢とともに増える傾向があります。

 脳腫瘍には、最初からその場所に生じた「原発性脳腫瘍」と、体内の他の部位のがんが転移してできた「転移性脳腫瘍」があります。

 原発性脳腫瘍は脳の内側から発生する腫瘍と、脳の外側から発生する腫瘍とに分けられます。どちらも悪性度(グレードI~IV)で表され、グレードの数字が大きいほど悪性度は高くなります。ただし、なぜできるのか原因が明らかでなく、予防は困難です。

 大阪市立大学病院脳神経外科教授の大畑建治医師は、次のように語ります。「脳の内側にできる脳腫瘍は悪性度の高いものが多く、手術でも取りにくい。その代表例が原発性脳腫瘍の約4分の1を占める神経膠腫(しんけいこうしゅ/グリオーマ)です。一方、脳の外側にできるものは悪性度が低く、手術で取りやすい。これには髄膜腫、下垂体腺腫(かすいたいせんしゅ)、神経鞘腫(しんけいしょうしゅ)などがあります」

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