睡眠評価研究機構代表・白川修一郎医学博士
睡眠評価研究機構代表・白川修一郎医学博士
睡眠負債のチェック項目(一つでも当てはまれば要注意)(週刊朝日 2018年7月6日号より)
睡眠負債のチェック項目(一つでも当てはまれば要注意)(週刊朝日 2018年7月6日号より)
すみやかに寝るための10カ条(週刊朝日 2018年7月6日号より)
すみやかに寝るための10カ条(週刊朝日 2018年7月6日号より)

 ちょっとした睡眠不足が借金のように積み重なっていく「睡眠負債」。眠気を感じて生活の質を下げるだけでなく、がんや認知症のリスクも。睡眠負債に関する疑問はいろいろあると思います。白川修一郎・睡眠評価研究機構代表への取材や朝日新書『睡眠負債』を基に、Q&A計10問をまとめました。

【睡眠負債のチェック項目はこちら】

Q:週末の寝だめで負債を一括返済できますか

A:休日に平日よりも3~4時間遅く起床して返済する方法は逆効果です。体のリズムを乱し、その夜が眠れなくなり睡眠の質が悪化し、さらに負債をため込み、休日明けの月曜日には「ブルーマンデー」といわれるように憂鬱(ゆううつ)な気持ちを起こします。

Q:二度寝や昼寝は効果がありますか

A:二度寝は睡眠のリズムを乱すので、目が覚めたら起きたほうがいいです。お昼寝は、正午から午後3時の間に30分~1時間程度なら夜間の睡眠にそれほど影響を与えませんし、その後の活動も効率的になります。

Q:電車や車での移動中の仮眠で睡眠負債を返済できますか

A:できませんが、脳をリフレッシュさせて仕事のミスを減らすには一定の効果が得られます。ただ、夕方に寝ると夜眠れなくなる恐れはあります。

Q:夕食後にうたた寝をしてしまいます

A:睡眠が分断されると成長ホルモンの分泌が減るので、まとめて寝たほうが良いです。眠くなったらLEDの強い光を浴びると眠気を抑えられます。

Q:寝つきが悪いときはどうしたらいいですか

A:眠れないときに布団に入らず、眠気を感じたらすぐ寝ましょう。お風呂に10分ほどつかると深部体温が0.1度ほど上がり、入浴後のリバウンドで体温が下がって快眠を得やすいです。就寝前の5分ほど、ヨガやストレッチをして軽く体を動かすのもいいでしょう。

Q:寝酒は効きますか

A:寝酒はだめです。微量のアルコール摂取は、脳の興奮を促すのでかえって眠れなくなります。飲みすぎると途中で目が覚めたりして睡眠の質を悪くします。アルコールが抜けるように、眠る3時間ぐらい前なら多少は飲んでも良いです。

Q:寝る前に絶対やってはいけないことは何ですか

A:寝る前に真っ暗な部屋でスマホやテレビを見ることです。瞳孔が開いた状態で網膜に光が入ると脳や交感神経を興奮させるので、寝る30分ぐらい前から見ないでください。利尿作用があるカフェインは3~4時間前には控えてください。

Q:夏になると寝苦しいです。どうしたらいいですか

A:エアコンを利用しましょう。室温が29度を超える、もしくは26度以上でも湿度が70%を超えると、睡眠が浅くなり中途覚醒が増えてしまいます。

Q:眠れなければ睡眠薬で治療したほうがいいですか

A:不眠症で睡眠薬を処方してもらう人は、3カ月以内の服用をめどに治療しましょう。6カ月以上の長期間服用するのは望ましくないですね。

Q:ショートスリーパーと呼ばれるような短時間睡眠で大丈夫な人もいるのでは

A:ほぼいません。ショートスリーパーは遺伝子の突然変異とされ、家系にそういう人がいれば可能性はあります。そうでない人は、ただ無理をしているだけです。

(本誌・岩下明日香)

週刊朝日 2018年7月6日号