自治体別でみると、もっとも高かったのは福島県葛尾村の9800円、低いのは北海道音威子府村(おといねっぷむら)の3千円だった。

 介護保険料が上がる要因を、社会保障のしくみに詳しいニッセイ基礎研究所准主任研究員の三原岳さんは「高齢化と要介護認定率」と見る。

「市町村別に見ると、要介護認定率が高い地域ほど保険料が高くなっているようです。しかし、要介護認定率の地域差がなぜ生まれるのか、その要因についてははっきりせず、さまざまな検証が進んでいます」

 内閣府の調査で要介護認定率と負の相関を示したのが、スポーツをしている高齢者の割合や歩数、高齢者の失業率、自治体の財政力などだ。元気な高齢者が多ければ介護保険を利用する必要が少なく、保険料は低くなる可能性はある。

「キーワードは“高齢者の社会参加”。介護保険サービスだけでなく、高齢者が気軽に外出したり、市民と触れ合ったりできる地域をつくれば、高齢者の生活の質は上がり、介護を必要としない高齢者が地域に増えることが期待される。そうすれば結果的に要介護認定率を下げることにもつながり、保険料を低く抑えることにもなります」(三原さん)

 保険料から見えてくる地域性について、我々は金額だけで判断しがちだが、三原さんはこう続ける。

「“高い”“低い”で一喜一憂するのではなく、ほかの地域と自分の暮らす町がどのように違うのか、どうしたら良い地域がつくれるのか、関心を持つことが大事です。そういう意識が町づくりにつながります」

(本誌・山内リカ)

週刊朝日 2018年6月29日号より抜粋