■四国犬


中型犬:体高 オス49~55センチ、メス46~52センチ/体重 15~23キロ
高知県を中心に飼われてきたため、「土佐犬」の名で天然記念物に指定されているが、土佐闘犬と混同しないよう、四国犬と呼ばれるようになった。毛色は黒毛、赤毛、白毛が混ざりあった「胡麻毛」が主体で、なかでも黒毛の多い「黒胡麻」が圧倒的多数を占めている。大きな特徴は“軽快”であること。「四肢の伸びがよく、6犬種で最もスマートな体形」(井上さん)で、飛躍力と疾走力は抜きん出ているそう。時としてオオカミと間違えられることもある野性的で精悍な顔つきも魅力で、鼻先までが長めで、額が広いものが多いという。

■甲斐犬
中型犬:体高 オス47~55センチ、メス44~52センチ/体重 15~23キロ
中型日本犬のなかではやや体格が小ぶりで、南アルプスの山岳地帯でカモシカを狩る犬として活躍した。「甲斐虎毛犬」の異名通り、銀灰色地に黒の虎縞の「黒虎」が最も一般的で、赤(茶褐色)に黒縞の「赤虎」、その中間の「中虎」など、大半が虎毛だが、「最近は黒毛のものも増えているようです」(井上さん)。虎毛が多いのは、遺伝性が強いのに加え、山地で自然の保護色の役割を果たしたからだと考えられている。持久力に富むと言われる差し尾の犬が多く、舌にあざのような黒い模様「舌斑」があるのも特徴。「一代一主」という言葉があるほど、飼い主に忠実なことで知られる。

■紀州犬
中型犬:体高 オス49~55センチ、メス46~52センチ/体重 15~23キロ
紀伊半島一帯で、狩猟犬として大切に飼育されていた。地元には優秀な猟犬の条件として、「一白、二赤、三斑、四胡麻」という被毛に関する口伝が残っているほど、「白い犬が圧倒的に多いですね。また、前胸がしっかりしていて、四肢が強靭。頭も大きめです」(井上さん)。鼻先までが短めの、頬部がよく発達した素朴な顔つきで、差し尾の犬が多い。性質は悠然として静かだが、闘志を内に秘めた勇猛さがあり、イノシシを追う巧みさは随一と言われている。

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