「企業不祥事が相次いだこともあって、コンプライアンス専門家の需要がある。検事は先輩が再就職の世話をしてくれることもある」

 司法関係では警察庁OBも複数いる。東宮侍従長や警視庁副総監を歴任した末綱隆氏は、丸紅や京浜急行電鉄など5社を兼務。ともに元警視総監の井上幸彦氏と奥村万寿雄氏は、3社を兼務している。

 ほかには経済産業省(旧通産省)のOBや元外交官、不祥事続きで揺れている財務省(旧大蔵省)の大物幹部らもいる。

 気になるのはその恵まれた待遇だ。主な仕事は月に1~2回ほど取締役会に出席すること。ほかにも経営会議などに出ることがあるが、毎日会社に行く必要はない。官公庁や日本銀行などのOB480人の平均報酬は、1社あたり年間750万円前後になる。数社を兼務すれば合計数千万円に達する。取締役会が月に1回だとすると、数時間の会議に出るだけで60万円ほどもらえることになり、サラリーマンからするとうらやましい限りだ。

 企業によっては1社で2千万~3千万円の報酬を出すところもある。望月晴文・元経産省次官が社外取締役の日立製作所では、開示されている金額から推計すると、1人あたり約3千万円を支払っているとみられる。望月氏は伊藤忠商事の役員でもあり、総額約4千万円をもらっているようだ。

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