財務省
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 企業の株主総会が集中する6月が近づいている。注目の一つは、選任される社外取締役の数だ。社外取締役は年々増えており、企業の経営でも重要な役割を担うようになっている。

【社外取締役や社外監査役に就いている主な官僚・日銀OBのリストはこちら】

 朝日新聞と民間調査会社の東京商工リサーチが、2017年3月末の東証1部上場企業約2千社について分析したところ、社外取締役はのべ約5千人に上った。そのうち官公庁や日本銀行などのOBは480人いた。企業経営者や弁護士、会計士・税理士に次ぐ一大勢力だ。

 そもそも社外取締役は、政府の働きかけで導入が進んできた。東京証券取引所や金融庁によって、上場企業は独立した社外取締役を2人以上置くように促されている。17年3月末では9割以上の上場企業に社外取締役がいる。内部昇格の経営トップが多い日本企業は、経営が内向きになりがちだと言われてきた。しがらみがない外部から取締役を招けば、より客観的で前向きな判断ができるとのふれ込みだった。

 急速に導入しようとしたため人材は不足している。民間企業の出身者だけでは足りず、弁護士や会計士・税理士に加え、官僚OBまでが続々と就任するようになっているのだ。

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