栗城史多さん死去 富士山でも知っておきたい登山の「リスク」 (1/4) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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栗城史多さん死去 富士山でも知っておきたい登山の「リスク」

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熊谷わこ週刊朝日#ヘルス

富士山剣ヶ峰。平地で97%程度ある動脈血酸素飽和度は、富士山山頂の標高では75~80%まで低下する(※写真はイメージ)

富士山剣ヶ峰。平地で97%程度ある動脈血酸素飽和度は、富士山山頂の標高では75~80%まで低下する(※写真はイメージ)

週刊朝日ムック『新「名医」の最新治療2015』から

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 世界最高峰エベレストの登頂を目指していた登山家の栗城史多(くりき・のぶかず)さんの死去は、各界に大きな衝撃を与えた。驚いた登山愛好家も多かっただろう。一般の登山愛好家が気をつけたいのは「高山病」だ。近年の登山ブームで気軽に高い山に登り、高山病を発症する人も少なくない。速やかに下山すれば、改善することが多いが、重症化すると命を落とすこともある。医師がいないと、すぐに救急車も来ない山の中だけに、注意が必要だ。本格的な登山シーズンを前に、リスクになりうる「高山病」について解説する。

【どんな症状? どんな治療? 高山病のデータはこちら】

*  *  *
 2014年7月、大手企業の営業部に勤務する浅井政樹さん(仮名・23歳)は、社員旅行として企画された富士登山に参加した。午後3時に静岡県側の須走口5合目を出発。5時間ほどで山頂に登って山小屋で1泊し、日の出を見て下山するという行程だ。

 登山経験はないものの、運動が好きで体力に自信があった浅井さんは、同僚たちと誰が一番で山頂に到着できるか競いながら登り、予定よりだいぶ早い午後6時に頂上付近の山小屋に到着。少し頭が痛かったが、寝つきを良くするために缶ビールを1本空けてから早々に布団に入った。

 翌未明4時、楽しみにしていたご来光を見るために布団から起き上がろうとすると、ひどい頭痛と吐き気で、体を動かす気になれない。登山経験が豊富でこの登山にも同行していた齋藤繁医師(群馬大学麻酔神経科学教授)に相談したところ、急性高山病を発症していることがわかった。

 高い場所ほど気圧は下がり、呼吸で得られる酸素量は標高3千メートルで平地の約3分の2に、5千メートルでは約半分に減少する。急激に高度を上げてこうした過酷な環境に突入すると、体は順応できず、酸素不足によるさまざまな不具合を起こす。これが急性高山病で、頭痛や吐き気、倦怠感などが特徴的な症状だ。齋藤医師はこう説明する。


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