ハリルホジッチ監督(右)と日本サッカー協会の田嶋幸三会長 (c)朝日新聞社
ハリルホジッチ監督(右)と日本サッカー協会の田嶋幸三会長 (c)朝日新聞社

 ハリルホジッチ前監督がついに提訴を決めた。サッカー日本代表監督を解任されたハリル氏は5月10日に代理人の弁護士を通じて、1週間を期限に日本サッカー協会へ質問書を送ったが、17日未明に弁護士事務所へ回答のファックスが届いたという。たが、内容は実質“ゼロ回答”。返答を受けて、ハリル氏は名誉回復を求めて東京地裁に「来週中の早いところ」(ハリル前監督代理人の弁護士)にも訴状を提出する方向だ。

【騒動の発端はこの人?】

 日本サッカー協会は18日、30日のガーナとの親善試合の日本代表メンバー27人を発表した。協会はいよいよ来たるべきワールドカップでの闘いに向かっている一方で、ハリル前監督との闘いも避けられなくなった。

 ガーナ戦に選ばれたメンバーが、W杯本大会に大きく近づいたのは間違いない。ハリル前監督に冷遇されていた本田圭佑、香川真司、岡崎慎司の“ビッグ3”も選ばれた。

 特に本田は、ハリル前監督が4月27日に開いた解任後の会見で上げた、「2人の不満分子」の1人とされる。また、5月14日に放送したNHK番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」に出演した本田は「ハリルのやるサッカーに全てを服従して選ばれていく。そのことの方が僕は恥ずかしいと思ってるんで」と発言するなど、ハリル前監督に対する不満を隠していなかった。

 ハリル前監督の解任の動きの発端には、本田が協会に不満を訴えたのがきっかけではないのか、とサッカー関係者の間では噂されている。

「既に“ハリルジャパン”では”戦力外”扱いされていた本田が、自らがワールドカップメンバーに選ばれるには、監督に変わってもらうしかないと画策したのではないか。噂通りか別にしても、『プロフェッショナル』での本田の発言が疑惑に火を注いだ」(サッカー関係者)

 さらには本田は今回の27人の代表メンバーにも選ばれている。

 協会はハリル前監督を解任に至った理由の1つとして、「コミュニケーション不足」(田嶋幸三会長)をあげたが、実はこの言葉が尾を引いている。ハリル前監督は会見で「どこにコミュニケーション不足があったのか、教えて欲しい。解任後に選手たちから多くのメッセージをもらった」と自分自身にかけられた“コミュニケーション不足”のレッテルに納得していないのだ。確かに契約という厳密性が要求される世界において、抽象的過ぎる理由だ。

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