いやはや、「水煮缶」が大ブームである。中でも注目したいのは、やはりサバ缶だ。サバは動脈硬化の予防につながるEPA、DHAを多く含んでいるので、医師のお墨付き。しかも缶詰ならば骨まで食べられ、値段もかなりリーズナブルだ。さあ今日から、食卓に取り入れてみよう。
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雑誌でも書籍でも、そしてウェブ上でも、最近「水煮缶」の文字を目にすることが多くなってきた。
「水煮缶の四天王といったら、サバ、サケ、トマト、大豆です。水煮缶はノンオイル&栄養価抜群のヘルシー食材。健康意識の高まりと共に、幅広い世代の支持を集めているのでしょう」 と女子栄養大学栄養クリニック所長の田中明さん。水煮缶の中でも特にサバ缶は「健全な血管を保ち、ドロドロで不健康な血液の状態を改善するのに役立つといわれています。高血圧、脂質異常症、糖尿病等の生活習慣病が気になる世代の方々には特に日々の食事に取り入れてほしいですね」。
実際サバの水煮缶の売り上げは、水産加工品メーカー大手のマルハニチロでは前年に比べて33%も増えている。
「サバは良質なたんぱく質に恵まれており、青魚の中でもトップクラスの栄養価を誇ります。そして体脂肪増加を予防する不飽和脂肪酸の一種、『EPA(エイコサペンタエン酸)』と『DHA(ドコサヘキサエン酸)』をとても多く含んでいるのが特長です」
このEPAとDHAが、体内の血液の巡りをスムーズにするのに役立っているようだ。
「血液の流れが滞ると体の機能が低下すると共に、血圧が上昇して血管が詰まったりするリスクが高まります。サバのEPAやDHAはそのような症状を予防してくれるのです。またDHAは人間の脳にとっても大事な栄養素です。脳を活性化する働きを持ち、記憶力や学習能力を高めたり、脳細胞の発育や機能維持に欠かせない役割を果たすといわれています」
またEPAやDHAは血液中の中性脂肪や悪玉コレステロールの低下にも、役立っている。
「40代以降になったら、やはり一番気を付けたいのは『動脈硬化』です。動脈硬化にはアテローム性動脈硬化(粥状動脈硬化)、細動脈硬化、中膜硬化の3タイプがありますが、一般的に動脈硬化というと『アテローム性動脈硬化』をさすことが多いです。動脈硬化の最大の危険因子は、悪玉コレステロールです」
血液中にコレステロールが増えると血管壁の内側の細胞が傷つき、そこから悪玉コレステロールが血管壁に入り込みプラーク(こぶ)を作る。このプラークができると血管内腔が狭くなるので十分に血液が流れなくなり、狭心症を引き起こしたりする。またプラークが破裂するとそこに血栓ができ、動脈が詰まり、心筋梗塞や脳梗塞といった深刻な状況につながることも。