ハンディのあるアイドルに…両下肢まひ「仮面女子」猪狩ともかの夢

2018/05/18 07:00

リハビリに励む猪狩さん(アリスプロジェクト提供)
リハビリに励む猪狩さん(アリスプロジェクト提供)
強風で倒れた案内板(現在は撤去) 写真=湯島聖堂提供
強風で倒れた案内板(現在は撤去) 写真=湯島聖堂提供

「車いすの猪狩(いがり)ともか」として活動再開を目指す──。

 地下アイドル「仮面女子」のメンバー猪狩ともかさん(26)が、4月11日、歩行中に強風で倒れた湯島聖堂(東京都文京区)の木製案内板の下敷きになった。事故後、猪狩さんは脊髄損傷で両下肢まひとなったことをブログで公表。「ハンディキャップのある人の希望になれば」と芸能活動を続ける意向だ。

【写真】強風で倒れた案内板はこちら

 その日は、日本海側の前線が南下した影響で都内に強風注意報が発令されていた。猪狩さんは、整体とダンスレッスンを受けるために秋葉原にある「仮面女子カフェ」へ向かって、普段どおり湯島聖堂の外堀通り沿いを歩いていた。

「ちょうど案内板の前を歩いているとき、ものすごい風が吹いて、『あっ、なんか降ってくる』と思ったら痛みを感じる間もなく、気が付いたら(案内板の)下敷きでした」と振り返る。

 猪狩さんは、脊髄損傷による両下肢まひが残り、現在はリハビリ中。自力歩行は極めて困難で車いすでの生活が続く。

 もともと猪狩さんは、メンバーに手作り弁当を振る舞うなど明るいムードメーカーで、「純粋にアイドルとしてステージに上がることに喜びを感じていた」(所属事務所)という。それが事故によってステージに立つことができなくなり、一時期は現実に「絶望」。しかし、「車いすに乗っていたって人を幸せにしたり、喜ばせたり、誰かの希望になることはできる」という家族の言葉と友人、ファンの支えを受け、活動再開を決意した。

 事故とけがについてはブログで公表。脊髄損傷により歩けなくなる可能性について「覚悟を決めて」家族に問いただしたことを赤裸々に告白した。告白には多くの反響が寄せられた。

「今後は猪狩の意向を尊重し、積極的にサポートしたい」(所属事務所)

 所属事務所では、福祉車両を購入し、スタッフが障害者ケアを学ぶなど、猪狩さんが復帰後に活躍できる体制を整える方針だ。

 湯島聖堂によると、敷地内の仰高門(ぎょうこうもん)前に設置された案内板はコンクリートを基礎に金具で固定され、強風の影響で倒れたのは想定外だったという。猪狩さんへの対応については、「弁護士に相談している」と話す。

 華々しい青春の真っただ中、不運の事故に遭ったアイドル。これからを温かく応援したい。(本誌・岩下明日香)

週刊朝日 2018年5月25日号

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