くまモンと蒲島郁夫・熊本県知事(c)朝日新聞社
くまモンと蒲島郁夫・熊本県知事(c)朝日新聞社
総合ランキング(左)とポテンシャルランキング(右)(週刊朝日 2018年5月18日号より)
総合ランキング(左)とポテンシャルランキング(右)(週刊朝日 2018年5月18日号より)
「成長可能性都市ランキング」 結果まとめ(週刊朝日 2018年5月18日号より)
「成長可能性都市ランキング」 結果まとめ(週刊朝日 2018年5月18日号より)
外国船社及び日本船社が運航するクルーズ船の寄港回数(週刊朝日 2018年5月18日号より)
外国船社及び日本船社が運航するクルーズ船の寄港回数(週刊朝日 2018年5月18日号より)

 この国は東京一極集中ではあるが、その大都会からずいぶんと離れていても、勢いや可能性を秘めた自治体はある。伸びる“まち”にはどんな条件が備わっているのだろうか。野村総合研究所の「成長可能性都市ランキング」などを参考に、成長につながるコツを取材した。

【図表】伸びる“まち”はどこ?「成長可能性都市ランキング」はこちら

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 昨年7月、野村総合研究所が発表した「成長可能性都市ランキング」だが、ポテンシャルを測ったこのランキングで、九州の都市が高い評価を受けた。

 ランキングは、野村総研が国内100都市を対象に、独自に設定した131の指標で評価し、今後の成長性を左右する「産業創発力」の現状などを分析。項目やライフスタイル別に集計してランキング化した。「総合ランキング」、実績とポテンシャルの差でみた“伸びしろ”が大きいと考えられる「ポテンシャルランキング」、産業創発力の六つの視点別ランキング、四つのライフスタイル別ランキングの計12種を算出している。

 たとえば「多様性を受け入れる風土」は5年前と比べた転入数や空き家バンク制度の有無を指標に。「都市の魅力」は、「他人へ居住を薦めるか」「地域コミュニティーの絆の強さ」の住民アンケート結果などを指標に取り入れている。

 12のランキングの中で、一つでも上位10位以内にランクインした都市は計40都市。このうち九州は、福岡市をはじめ、鹿児島市、長崎県佐世保市、本市など10都市にのぼる。

 上位都市に見いだせる共通点について、経営コンサルタントとして2001年から約30市町村の地方創生に携わってきた「ノウハウバンク」の三科公孝さんは、「中心になる企業がある点、そして外国に開かれている点。この二つが満たされていると思う」と語る。

 まず企業を見ていくと、総合9位の福岡県久留米市は「ゴム3社」の存在が大きい。タイヤ製造大手の「ブリヂストン」の工場、靴製造の「アサヒシューズ」「ムーンスター」の本社があり、総合10位の佐世保市には通販大手の「ジャパネットたかた」本社がある。全12ランキングに登場する40都市を見渡しても、トヨタ自動車が鎮座する豊田市や周辺の愛知県内の都市、日産が拠点とする横浜市が入っている。

 九州といえばクルーズ船を思い出すかもしれない。寄港回数は他地域を圧倒する。17年(速報値)は1位が博多港(326回)、2位に長崎港(267回)、3位に那覇港(224回)。3港で全体の約3割を占める。アジア諸国から近く、各県が風光明媚(めいび)な自然と歴史を持つ。

 三科さんは九州の“勢い”について「おそらく九州新幹線の影響」とみる。

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