「好きになるって、最終的には多少なりとも肉体関係を持ちたいという気持ちと重なるのだと思います。結局それが金銭の対価かどうかは、好きになってほしいと思っているかどうかなのかなと思います。私は、好きになってほしかった。少なくとも少し好きでいてくれて、より好きになってほしいと思っていたということです」

 何とも言えない切なさがヒシヒシと伝わってくる。決して米山前知事が行ったことは、褒められたことではない。それでも、精神的に弱っているであろう米山前知事に、どんな方がオススメだろうか。

「川上弘美さんの『センセイの鞄』というのはどうでしょうか。主人公が30代女性で、好きになる相手が70歳くらいの男性。2人の間のほのかな恋というか、ドロドロもしてない、素敵な恋愛を描いています。女性には『こんなじじい嫌』というのもなく、男性側にも『こんなに年取っていてすいません』というのもありません。それって自然な姿だなと思いました。今回の一件は、マスコミ的に『オッさんの恋愛気持ち悪い』かもしれませんが、米山さんはそんな風に卑下する必要はないと思います。この先もこの本の様な、素敵な恋愛があるかもしれません」

 ただ米谷前知事が漏らしている様に、そもそも年齢を重ねると女性との新たな出会い自体が少なくなる。ましてや、米山前知事の言葉から察するに、女性との付き合い方がわからなかったのかもしれない。

「アルテイシアさんが書かれている男性向けの本『オクテ男子のための恋愛ゼミナール』や『モタク モテるオタクになる恋愛ガイド』がオススメです。恋愛がしたくてもやり方がわからない、女性の前で緊張してうまく話せない男性のために、女性から好かれるための話し方や会話のコツを紹介しています。モテ本ってファッションとかについて書いてあることが多いですが、そうではなく、結局、人と人とのコミュニケーションの心の問題。人の話を聞くというのはどういうことなのかとか、女性が不快な気持ちならないように気遣うというのはどういうことなのかを、本の中で丁寧に描いています」

 実際のところ、米山前知事に本を読む、心理的な余裕はないかもしれない。しかし、また前に進むための第一歩として是非この3冊を読んで欲しい。辞任会見でさらけ出した人間的な弱さは、人々に何か惹きつけるものを感じさせたのも間違いないはずだから。(本誌 大塚淳史)

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