「男性記者が夜回りや会食に行っていて、なぜ、女性記者は行けないのか。本質はそういうところにはない。本質はセクハラをしないということなのに、そこに行かなければいいという議論になるのはおかしい。テレ朝の記者もそのことでバッシングを受けていて、胸が痛い。一対一でないと、なかなかホンネを話してくれないという場合も多いのです」(浜田氏)

 財務相の顧問弁護士が、セクハラを受けた被害者に直接話を聞きたいから、名乗り出てくるように呼びかけたことに抗議の声が上がった。

 和服姿で参加した弁護士・足立悠(はるか)氏は性犯罪やジェンダー問題、労働問題に詳しい弁護士10人の有志で、セクハラ被害者に名乗り出るように求めた財務相に対する抗議の署名を4万人集めた。

「財務相がセクハラの被害者に名乗り出るように求めた調査は問題です。財務相は顧問弁護士、つまり財務相側の人が調査するといっているんです。そんなの名乗り出られるわけないじゃないですか。利益相反なのではないか。なのに、財務相のホームページでは福田さんの一方的ないい分だけを載せたものを公開し、しかも週刊新潮を名誉毀損で訴えるとまで書いてある。そういう調査方法がおかしいと思い、署名活動を始めました。問題を財務次官の辞任で終わらせてはダメなんです。財務相の調査報告の撤回までいかないと」(足立弁護士)

 財務省は現在も問題を調査中としているが、セクハラが認定されると福田氏が懲戒免職になることはないのか。人事院審査課の担当者はこう語る。

「相手が嫌がっていることを認識の上で性的な言動を執拗に繰り返し、相手が強度の心的ストレスの積み重ねによる精神疾患に罹患した場合、停職や免職にもできます」

 この他にも、単発でのセクハラに対しては一番重くて減給処分があるが、役職者は1段階、2段階重い処分をすることは可能だという。どの程度にするかは、任命権者の麻生財務相が決めることになる。

「ただし、もう、福田さんの場合は次官をお辞めになっただけではなく、公務員そのものをお辞めになった。もう一般の方になられたので、処分はできません。国家公務員法の82条で、懲戒処分の対象はあくまで職員となっています」(人事院審査課)

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