また、論理的な説明で注意すべきなのは、「主観をいれないこと」です。国語にありがちなミスですが、たとえば、桃太郎を読んで「犬はどうしてついてきたの?」と聞いたとき、「おばあさんのきび団子がとてもおいしかったからついてきた」と言ったらそれは主観が混じっています。この答えでは団子がまずかったらついてきていないことになり、そこの因果関係は文章からは分からないことです(絵本においしかったから、という表現があったら別ですが)。

 そして、論理的に考えさせることと、子どもの想像力を伸ばすのは別のことです。人間が「月にいく」と考えたのは想像力であり、それを実現させたのは論理的な思考。つまりこの二つは潰しあう関係ではありません。私も息子に論理的な話をするときには、余計な主観をキッチリ排除しながらも、想像する力はつけさせたいと思っています。

 息子は、将来の夢はロボットだし、「悪い子がいないかテレビから出てきた」と言ってマツコ・デラックスさんのお面をかぶって近づくだけで号泣するし、私が「恐竜の歯を抜いて作った」とうそをついた、単なる石のペンダントを皆に自慢してしまうような、かなりファンタジーの世界で生きている子です。「テレビから人間は出られない。なぜなら……」と言えるのは知識があるからで、もしそんなふうに論破されてしまったら、ご飯をちゃんと食べないときなど育児が大変になります……なので、とりあえず今は、夢を壊す知識をつけるような議論は避けようと思います。

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杉山奈津子

杉山奈津子

杉山奈津子(すぎやま・なつこ) 1982年、静岡県生まれ。東京大学薬学部卒業後、うつによりしばらく実家で休養。厚生労働省管轄医療財団勤務を経て、現在、講演・執筆など医療の啓発活動に努める。1児の母。著書に『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』『偏差値29でも東大に合格できた! 「捨てる」記憶術』『「うつ」と上手につきあう本 少しずつ、ゆっくりと元気になるヒント』など。ツイッターのアカウントは@suginat

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