マーク式では、学校で覚えた知識を内容と照らし合わせて「それっぽい」ものを選べば、単純によい点がとれました。しかし記述式だと、表面的であいまいな理解ではまず何を書けばいいかも分かりません。マーク式よりも確実に深く内容を理解し、「論理的に」表現する力が必要になってきます。

 当然、入試直前に論理的思考力を磨くのと、小さい頃から鍛えていくのでは、取り返せないほど大きな差がついてきます。では、子どもが論理的思考をもつために、親はどのような手伝いをすればよいのでしょうか。

 話の内容を理解するという点で「絵本」はまさにピッタリの武器です。積極的に絵本を読んであげることで、子どもも喜ぶし一石二鳥です。

 そして、理解力を試し、論理力を高めるには、子どもに「質問をする」ことが効果的でしょう。読み終わったあとに、子どもに「どんな内容だったか言える?」「誰が?」「何をした?」と問いかけるのです。子どもは、全体を通して大事なところを抜き出し、誰が、何をして、どうなったか、とまとめることで、記述式に必要な「説明する能力」がつきます。小さいうちは「書く」ことが難しいので、口で「説明させる」ことで論理力をつけるとよいでしょう。

 うちの息子の場合、「A君はどんな子?」と聞けば「男の子だよ」と答えるし、「Mちゃんはどんな子?」と聞けば「同じクラスの子だよ」と想定外の答えを出してくるレベルなので、まだまだ絵本について話す段階にはいっておりませんが……質問に対しての回答が論理的に正しいのが複雑なところです。

 4歳から5歳の論理トレーニングとしては、「重さ」を使った学習が効果的だという文献があります。「重さ」とはつまり重力なので、目に見えないものです。大人には、重力という概念があり、物理をやれば方程式まで習うので、なんとなく説明はできるかと思います。しかし、イチゴとリンゴをてんびんにのせて、目に見えない力により「どうしてリンゴが下にいくのか」を説明するというのは、なかなか難しいものです。日々の不思議なことに関して「どうしてだと思う?」と質問することは、思考力のトレーニングになるのではないでしょうか。

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