腰の痛みは今や国民病。スポーツジムで筋トレしたり、マッサージをはしごしたり……とさまざまな対策をおこないながらも、一向によくならず、「腰痛難民」になっている人もいることだろう。理学療法士の笹川大瑛さんは、腰痛にもっとも効くのは、股関節を安定させる「関トレ」だという。笹川さんの著書『関トレ 関節トレーニングで強い体をつくる』(朝日新聞出版)から、その内容を一部紹介する。

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 腰痛は病気ではなく、腰の痛み、張りなどの不快感や違和感といった症状の総称で、膝痛と同様、加齢に伴い増えます。上半身を支える、バランスをとるなどいくつかの働きを担う腰。ここにはどのくらいの力がかかっているか知っていますか? 

 姿勢別にみると、立っているときの腰への負担を100とすると、仰向け寝は25、横向き寝は75、椅子に座るは140、立って前傾は150。立ち姿勢よりも、椅子に座る姿勢の方が多くの負荷がかかっているのはちょっと意外です。

 慢性的な腰痛を改善しようと、マッサージや整体に通っている人は少なくありませんが、ケアしてもまた痛くなって、再度マッサージ……と、この繰り返しになっていないでしょうか。

 しかし、マッサージは腰痛の根本的な対策にはなりません。

■股関節を安定させる「関トレ」はなぜ効くのか?
 
 重要なのは、股関節を安定させることです。腰は腰椎と呼ばれる5つの骨がブロックのように積み重なって構成されています。股関節と腰は近くにあり、動作のときにはほぼ一緒に動くので、股関節が不安定だと腰への負担も大きくなり、使いすぎて痛みが出ます。

 つまり、腰痛改善のためには、股関節を安定させることが重要というわけです。股関節を安定させる筋肉は、腰椎・骨盤と大腿骨をつなぐ腸腰筋と、腰椎の後ろにある多裂筋(腰の最も奥にあり、腰の安定に関わる筋肉)の2つです。この2つの筋肉を強くすることで股関節が安定し、腰を守る力も高まり腰痛が緩和されるのです。ですから、関トレでは股関節と腰はコンビでとらえます。

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