まだまだ続く羽生フィーバー (C)朝日新聞社
まだまだ続く羽生フィーバー (C)朝日新聞社

 羽生フィーバーが止まらない。4月23日まで東京・日本橋で開催された写真展「応援ありがとうございます! 羽生結弦展」は、開店前に2千人を超える長蛇の列。平昌冬季五輪でのフィギュアスケート男子2連覇達成を記念し、22日には故郷・仙台で「2連覇おめでとう」パレードが開催。県警過去最大規模の警官ら2千人の厳戒態勢のもと、全国から羽生を一目見ようとファンが集った。

 こうしたフィーバーに乗じ、小銭を稼いでいるのが、個人で応援幕などのグッズ制作を請け負っている手芸上手のマダムたちだ。羽生ファンの間では、羽生が好きなプーさんグッズを始め、「バナー」と呼ばれるお手製の応援幕を掲げ、熱烈応援を繰り広げるのが通例。シーズンに入ると、こうした応援幕がオークションサイトやフリマアプリなどを通じ、個人間で売買が交わされる。特に今年は、仙台での凱旋パレードが発表されてからというもの、応援幕を作るマダムたちのもとには、ファンからの応援幕のオーダーが相次いでいるという。

「お気に入りの選手にありったけの想いを込めて、ファンは応援幕を作るんです」

 自身も筋金入りの羽生ファンで、フィギュアの応援幕制作歴3年の横山信子さん(55・横浜市在住)は力説する。横山さんによれば、応援幕の相場は1枚5千〜2万円前後。サイズや生地、ディテールの細かさによって、値段が上がるという。

「羽生選手の場合、白と青のグラデーションの色合いを用いたいというオーダーが多い。金メダルを取ってからは、ゴールド仕様のオーダーが増えましたね。イラストや文字のインパクトはもちろん、生地感やキラメキなどのディテールもポイントになります。皆さん、一目で良いから自分のバナーが羽生選手の視界に入ってほしいという一心です」

 ちなみに、横山さんが仙台の凱旋パレード用に制作した応援幕は、54枚。値段にして、約40万円を売り上げた。

「利益ですか? まあ半額から3分の2程度ってところでしょうかね。皆さんに喜んで頂けますし、良いお小遣い稼ぎになります。私のお友達には、パレード用に100枚以上作った人もいますよ。その方は、ゆうに100万円以上は売り上げていると思います」

 恐るべし、羽生フィーバー。経済効果がこんなところにも……。彼が愛されるゆえんは、いろんなところにありそうだ。(本誌・松岡かすみ)

週刊朝日 2018年5月4日-11日合併号

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松岡かすみ

松岡かすみ

松岡かすみ(まつおか・かすみ) 1986年、高知県生まれ。同志社大学文学部卒業。PR会社、宣伝会議を経て、2015年より「週刊朝日」編集部記者。2021年からフリーランス記者として、雑誌や書籍、ウェブメディアなどの分野で活動。

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