日銀の当預は約367兆円で、付利金利を1%上げると3.67兆円、2%上げると7.34兆円の支出増で、損を垂れ流す。引当金勘定や準備金(計8.1兆円)も枯渇し、中央銀行は債務超過の事態に陥る。

 黒田総裁も「出口の局面では日銀当座預金に対する付利金利の引き上げ等によって収益が減少しやすいという特徴がある」と認めている。そのうえで、「日本銀行が付利金利を引き上げる場合には、長期金利も上昇していると考えられる。従って、日本銀行の保有国債は、より高い利回りの国債に入れ替わっていくため、受取利息も増加すると思われる」と答弁した。

 異次元の質的・量的緩和の「質的」とは、10年ものや30年ものなどの長期国債を大量に買い始めたということ。これらは固定金利で、10年、30年たたないと高利回り国債に入れ替わらない。ごまかしの答弁に思える。私の疑問に対し、総裁は次のように答弁した。

「現在の保有国債の平均残存期間は7.5年ぐらい。ある程度のスピードで入れ替わるのは確かだと思う」

 微速だと間にあわないことは、算数ができればわかる。黒田総裁、苦しい答弁ですね~。次週も続きをお伝えしたい。

週刊朝日  2018年4月6日号

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藤巻健史

藤巻健史

藤巻健史(ふじまき・たけし)/1950年、東京都生まれ。モルガン銀行東京支店長などを務めた。主な著書に「吹けば飛ぶよな日本経済」(朝日新聞出版)、新著「日銀破綻」(幻冬舎)も発売中

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