猫ブームが迎える悲劇 容易な「増産」で純血種の野良も増加 (1/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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猫ブームが迎える悲劇 容易な「増産」で純血種の野良も増加

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太田匡彦週刊朝日#ねこ

NPOに保護され、新たな飼い主に託されたきょうだい猫

NPOに保護され、新たな飼い主に託されたきょうだい猫

保護されたアメリカンショートヘア

保護されたアメリカンショートヘア

2016年度中に販売または引き渡された犬猫の数(かっこ内は死亡数)(週刊朝日 2018年3月16日号より)

2016年度中に販売または引き渡された犬猫の数(かっこ内は死亡数)(週刊朝日 2018年3月16日号より)

 いま、ペットの猫は年間16万匹超も流通している。なぜ、それだけの数を「増産」できるのか。ブームの陰には、過酷な状況を強いられる猫たちがいる。売る側にも買う側にも“猫バブル”の実態を直視してほしい。

【図表でみる】2016年度中に販売または引き渡された犬猫の数

「命をお金に換えることに罪悪感がありました。いまもその思いは消えません」

 関東地方で猫の繁殖業を営んでいた女性は、そう告白し始めた。

 たまたま入ったペットショップで、ある純血種の雌猫を衝動買いしたのが始まりだった。1匹だと寂しいだろうと、同じ種類の雄猫を続けて買った。2匹とも不妊・去勢手術をしないまま飼っていると、翌年から次々と子猫が生まれ始めた。困って近所のペットショップに相談すると「ぜひ出してくれ」と言われ、卸売業者を紹介された。それから、生まれた子猫たちを売るようになったという。

「1匹数万円で売った猫が、ペットショップの店頭では十数万円で売られていた。店頭に並ぶ子猫の姿を見ると、胸が痛みました」

 数年前に体調を崩し、廃業せざるを得なくなった。だが繁殖用の猫たちは手元に残り、管理が行き届かないまま増え続けた。糞尿の片付けも追いつかず、自宅の中は強いアンモニア臭が充満するようになった。追い込まれ、最終的に動物愛護団体に助けを求めた。女性はこう振り返る。

「最大40匹くらい抱えてしまい、餌が足りなかったのか、成猫に食べられてしまう子猫もいました。猫たちはもちろん、自分も家族も、誰も幸せにはなれませんでした。せめて、買われていった子猫たちは幸せになっていると信じたい」

 空前の猫ブームが追い風となり、ペットショップなどによる猫の販売数が右肩上がりになっている。朝日新聞の調査では猫の流通量は2016年度まで2年連続で増加しており、その数はいまや年間16万匹を超える。販売価格も高止まりしており、猫ビジネスの現場はバブル状態だ。だがその裏側には、猫たちを巡る過酷な現実があった。

 朝日新聞が、第1種動物取扱業に関する事務を所管する自治体にアンケートを行い、繁殖業者やペットショップなどが自治体への提出を義務づけられた「犬猫等販売業者定期報告届出書」の集計値を尋ねたところ、16年度の猫の流通量は16万5859匹に上っていた。動物愛護法が改正されて同届出書の集計が可能になった14年度は13万3554匹だったから、たった2年で2割以上も流通量が増えた計算になる。

 流通量が増えるということは、当然ながら生産量も増えている。猫ブームの裏側でここ数年、猫は「増産態勢」に入っているのだ。

「猫の販売シェアが年々増加しており、猫のブリーダーの皆さまにはたいへんお世話になっております。本日は、猫の効率の良い繁殖をテーマに話をさせていただきます」


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