林:それで書類審査に受かって、いよいよオーディションを受けたわけですね。よく北海道から一人で来られましたね。

松岡:いえ、10歳からは横浜に住んでいたので、電車乗り継いでいきました。

林:松岡さんなら、「あなたを待ってました」という感じだったでしょう。

松岡:全然です。当時ツッパリがはやってて、髪の生え際を剃ってたし、眉毛もなくて。だけど、ジャニーズ事務所から「1次審査に合格しました。10月26日午後3時からテレビ朝日でオーディションをやります」という通知が来ちゃったから、おふくろの眉ずみで眉を描いて、髪の毛おろして行ったんです。

林:何人ぐらいいたんですか。

松岡:50人ぐらいかな。用務員みたいなおじさんが「オーディションまで30分ぐらいあるので、ここにあるジュースとか自由に飲んでください」みたいなことを言いながら、机やいすを並べてるんです。そしたら、目の前にいる同じ年ぐらいの子がずっと俺を見てるんですよ。「なんで見てるんだ、コノヤロー」と思ってにらみ返してたら、さっきのおじさんが、いきなりめがねかけて「今からオーディションを始めます。僕、ジャニー(喜多川)です」と。

林:えーっ。

松岡:あわててみんなサングラスはずしたり、服を直したりしてるんだけど、俺はそれどころじゃなくて、ずっとそいつをにらんでた。ジャニーさんって外国人だと思ってたし(笑)。

林:アハハハ。

松岡:それで4人ずつぐらい呼ばれたんですけど、「ユーはいくつ?」「ユーって誰? 僕は松岡なんで、ユーはやめてください」と。

林:そんな生意気なことを言ったんですか、あのジャニーさんに(笑)。

松岡:「歌、歌える?」「歌えます」「何を歌える?」「『THE BLUE HEARTS』が好きです」「じゃ、歌ってみて」って言われて歌ったんです。そうしたら、「ユー、不良なの?」「いや、不良じゃないよ」「あ、そう。眉毛、生えてくる?」「生えてきます」「オーケー」で終わり。そのとき隣にいた男の子がメチャクチャかっこよかったし、「あー、ダメだ。終わった」と思ったら、次の日の夕方に電話がかかってきました。「ジャニーです。取材があるから来てよ」って。

林:おーっ!

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