「応援してくれる人がこんなにいるんだって……。このとき、『俺は芸能やろう!』と決意しました」
その思いを両親に告げると、大反対された。「今まで何のために勉強してきたんだ」「もう大学に戻れなくなるよ」――。
「僕は、やりたいからやるという、それだけでした。親にはしんどい思いをさせたかもしれません」
その後、芸能事務所に所属し、大学を休学。一人暮らしを始め、舞台や映画など演技の仕事をスタートさせる。半年に6本の舞台に出演するなどの経験を重ね、15年末、「仮面ライダーアマゾンズ」の主役・水澤悠役に抜擢された。テレビ番組「仮面ライダーアマゾン」(1974年)のリブート作品だ。
「現場に入ったら、でかいカメラが何台もあって、スタッフが何十人もいる。『よーい、スタート!』の声で、すべてが僕に集中してくれる。なんて気持ちいいんだろうと思いました」
「仮面ライダーアマゾンズ」は、Amazonが運営するAmazonプライム・ビデオで、16年と17年に独占配信された。その2作が好評だったため、劇場版『仮面ライダーアマゾンズ 完結編』が制作され、今春公開される。
「本当に楽しくて仕方ないんですよ。役者でメシが食えるなんて最高だなって」
常に疑問を感じながら選んできた進路。ようやく見つけた自分の道。
「今、迷いはまったくないです。ぶっちゃけ、大学には戻らないかもしれない。医者や歯医者って、大学の6年と研修期間を合わせて約10年、その道一本で努力した人たち。僕はすごく尊敬しています。でも、好きなこと、やりたいことって、どんどん変わってもいいんじゃないでしょうか。大学の選び方も、そこに入ることがゴールではない。今の自分が受験生だったら、歯学部とは別の選択をするかもしれない。自分を見つめ、幸せと思える選択を続けるのが人生かもしれません」
(週刊朝日・太田サトル)