相続税の不動産価格の基準ともなる「路線価」は上昇している。東京・銀座周辺(手前)では2017年の路線価がバブル期を超えたところもあった(c)朝日新聞社
相続税の不動産価格の基準ともなる「路線価」は上昇している。東京・銀座周辺(手前)では2017年の路線価がバブル期を超えたところもあった(c)朝日新聞社

 年末年始に家族で集まると、話し合っておきたいのが相続税について。財産が少ないから、自分の家は関係ないと思っているみなさん。増税によって納税しなければいけない人は、過去最高を更新しています。いざというとき慌てないために、このQ&Aを参考にしてください。

Q:土地の“お得”な評価方法って?
A:特例を使えば評価額が8割減

 財産を少しでも多く子供らに渡すために、相続税を減らしたいと思う人は多いだろう。相続税に詳しい佐藤和基税理士は、

「現金よりも不動産で残したほうが節税効果のあるケースが多い」

 とアドバイスする。財産の評価額を減らすための特例が、現金に比べて多く用意されているからだ。

 一般的な広さの持ち家に住んでいる人なら、「小規模宅地等の特例」がある。亡くなった人(被相続人)が住宅用などとして使っていた330平方メートルまでの宅地などが対象だ。同居する家族であったり、別居していても持ち家に住んでいなかったりするなど条件を満たしていれば、土地の評価額が8割下がる可能性がある。

 単純化するため、相続人が1人だけの事例で考えてみよう。評価額5千万円の土地の場合、特例がなければ基礎控除3600万円を除いた1400万円が課税対象になる。特例を使えば、5千万円の80%が減額されるから、評価額は1千万円まで減り、基礎控除3600万円を差し引くと、この土地にかかる相続税はゼロになる。

 つまり、見かけ上は相続税を納めなければいけない土地資産があっても、納めなくてよくなるのだ。

「相続する資産全体の評価額が1億円くらいまでの人は、財産のほとんどを自宅が占めることが多い。小規模宅地等の特例を使えば、相続税がかからなくなる人は少なくないのです」(税理士法人チェスターの福留正明代表)

 また、来年1月からは広い宅地についての評価方法が変わる。従来の「広大地評価」と呼ぶ方法が、「地積規模の大きな宅地の評価」に変更される。これにより、広い土地の評価額を減らす判断がしやすくなるという。

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