9月19日の幹事会での議論に使われた「防衛生産・技術基盤の維持・強化を求める」(案)という内部資料では、近年、戦闘機の国内生産・開発が止まっていることを問題視し、<可能な限りわが国主導での開発・調達計画を進めることが重要である>と主張。さらに、安倍政権下で武器の輸出が解禁されたことを評価しつつ、<官民一体の推進体制の構築>や<情報開示にかかる規制の緩和>など、武器輸出のさらなる推進を求めている。

 安倍首相は12月15日、こうした声に応えてか、「従来の延長線上ではなく、国民を守るために真に必要な防衛力のあるべき姿を見定めていきたい」と語り、年明けから防衛力整備の指針となる「防衛計画の大綱」の見直しに取り組むと表明した。

 また、経団連の榊原会長は12月7日、四国電力の伊方原発(愛媛県伊方町)を視察した際、「原発は重要な電源としてこれからも使用していく。将来は増設や新設も選択肢にしないといけない」と発言。直後の13日には広島高裁が伊方原発3号機の運転を禁じる仮処分決定を出したが、経団連が考えを改めた形跡はない。

 武器の輸出、原発の新増設……いずれも安倍政権が推進する政策と、ピッタリと一致しているのだ。

「安倍首相はかつて三木谷浩史・楽天会長兼社長が代表を務める新経済連盟など新自由主義的な人々とも親密でしたが、最近は一定の距離を置いている。一方で、重厚長大産業を中心とした経団連はほとんど一体化しており、かつての『護送船団方式』のように官財が一体となって海外への売り込みを図っている。日立製作所による英国への原発輸出案件では、政府が金融機関の日立の債務を日本貿易保険(NEXI)を通じて全額補償します。財界の要請でリスクを政府が引き受けるのは異例。そして首相が賃上げまで要請するなど、ほとんど社会主義国です」(前出関係者)

 年明け早々には安倍首相が経団連などに所属する企業数十社を引き連れ、シンガポール、中東などへ外遊する計画がある。

「企業を連れての大名外遊は久しぶりです。石油関係の案件がメインのようだ。通常国会前で大きなテーマがない時期ですからね。首相が外遊し、外国政府との間で貿易交渉の地ならしをし、企業が懇親会などに参加してビジネスのパイプをつくるというパターンだったので、今回もそうなのでは」(同)

(本誌・小泉耕平)

週刊朝日  2017年12月29日号