日本会議系の集会で流れた安倍首相のメッセージ(c)朝日新聞社
日本会議系の集会で流れた安倍首相のメッセージ(c)朝日新聞社
安倍政権周辺の主な「保守系」経済人団体・グループの主な顔ぶれ(週刊朝日 2017年12月29日号より)
安倍政権周辺の主な「保守系」経済人団体・グループの主な顔ぶれ(週刊朝日 2017年12月29日号より)

 朝日新聞の「首相動静」によれば、鉄鋼ビルディング専務の増岡聡一郎氏、読売新聞グループ本社主筆の渡辺恒雄氏と最も会食を重ねた安倍晋三首相。

【安倍政権周辺の主な「保守系」経済人団体・グループの主な顔ぶれこちら】

 日本を代表する経済団体である日本経済団体連合会(経団連)の幹部たちも、首相と緊密な関係を持っている。首相動静の頻出メンバーを見ても、現会長の榊原定征・東レ相談役(3回)や、会長経験者の御手洗冨士夫・キヤノン会長(4回)、今井敬・新日鉄住金名誉会長(3回)などと頻繁に会合を重ねていることがわかる。

 中でも今井敬氏は、安倍首相の最側近として知られる経産省出身の今井尚哉・首相秘書官の叔父だ。

「今井氏は首相からの信頼も厚く、天皇の退位についての有識者会議の座長も務めました。安倍政権の成長戦略などを取りまとめる首相秘書官で甥の尚哉氏は経団連など財界と首相とのパイプ役を務めています」(経産省関係者)

 政権に対してさまざまな提言を行っている経団連だが、加盟企業のある経営者はこのような不満を漏らす。

「毎月開かれる幹事会で、かなり突っ込んだ議論をしていたが、今は一部の幹部と政府が大まかな方針を決めている。幹事会では政府への要望書を読み上げ、垂れ流しで各報告をするだけです。目立った反対意見も出ず、シャンシャンで終わることが多く、かなり形骸化していると感じます」

 現在、経団連と安倍首相との関係は、かつてないほどの“蜜月”とされる。

 経団連は民主党政権発足後の10年から加盟企業への政治献金の呼びかけを中止していたが、自民党が政権を奪取し、榊原会長が就任した14年から再開。政権の要求に歩調を合わせ、加盟企業に経団連会長として初めて賃上げを呼びかけた。

 最近でも、安倍政権が待機児童対策の財源として経済界に3千億円の拠出を求めていたのに対し、榊原会長は11月30日に受け入れを表明。安倍政権の“言いなり”になる姿勢が目立っている。

 一方、経団連側からの提言も、官民一体を意識し、安倍政権と同じ方向性となっている。

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