認証精度はどのくらい高いのか。出入国管理を担当する法務省は2014年、実証実験を実施している。パナソニック▽東芝▽NEC(日本電気)▽グローリー▽サクサの5社が参加し、10~90代の計約2万2千人を認証した。

 実験結果によると、認証精度は5社の機器の違いによって、87倍も差がついた。精度が高かった2社(社名は非公表)は、本人なのに誤って拒否される率が0.26%と0.54%で、千人に対して数人に抑えられた。拒否された人は10~20代の若い女性が多く、額を隠すほどの長い前髪の影響などが誤認証の一因と考えられるという。

 2020年の東京五輪に向けて訪日外国人が増えるため、法務省はほかの空港でも今後採用する方針。日本人の出帰国手続きを合理化することで、審査官を外国人向けに重点的に振り向ける考えだ。2017年度に約4億円だった導入予算を、2018年度予算の概算要求で約17億円に増やしている。(本誌・中川透)

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