とにかく最後は必ずライバルを打ち倒し、感動のフィナーレを迎えるってわかってるわけで。それまでの苦しみと緊張を「ためてためて」部分が、もうめんどくさい。「ドクターX~外科医・大門未知子~」シリーズなら、1話ごとに「失敗しないので」カタルシスが来るんだけど、「陸王」は永遠に続く圧迫面接状態だ。

 ライバルスポーツ用品メーカーの営業部長・小原役のピエール瀧が、顔面アウトレイジで「負け犬業者、負け犬選手。お似合いじゃないか」と憎々しげに嘲笑する。しかし、故障明けの選手・茂木(竹内涼真)が新シューズ「陸王」をはいて走り出せば、劇中歌「ジュピター」が「エブリデ~イ♪」と流れ出す。ここで感動してくれって場面では決まって流れる「エブリデ~イ♪」。

 祈るように見守る宮沢。やっぱり勝てないのか、また負けるのか。その時トップに躍り出る茂木、汗と涙と鼻水の「エブリデ~イ♪」。やっとここでカタルシスが……と思った瞬間、茂木の足がつって転倒おおおお!

 なんなのよ、この寄せては返すフラストレーションの「エブリデ~イ♪」。本物の「ニューイヤー駅伝」のゴールシーンでも「エブリデ~イ♪」が耳にこだましそうで、もうやめて。

週刊朝日  2017年12月1日号

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カトリーヌあやこ

カトリーヌあやこ

カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など。

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