振り込みに制限がかかることを知らせるATMの画面。還付金詐欺などを防ぐためATMでの振り込みを制限する金融機関が増えている
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悪徳商法被害者対策委員会の堺次夫会長

 「オレオレ」から「還付金」、「電子マネー」に至るまで、詐欺の手口が巧妙化しています。任意団体「悪徳商法被害者対策委員会」会長で、1974年から消費者問題に取り組んでいる、堺次夫さん(67)に対策を聞きました。

――オレオレなどの特殊詐欺や投資名目の詐欺被害が目立っています。背景には何があるのでしょう。

 40年以上、詐欺や悪徳商法の世界を定点観測してきました。今は超低金利で銀行に預けてもお金が増えない。定期預金の金利も0.01%程度で、100万円預けても1年で100円にしかならない。おまけに税金も引かれる。バブル末期は年5%以上つくのが当たり前だった。高齢者は退職金をもらった後は、年金と金利収入しかない。まとまったお金はあるけど預けるところがない高齢者に、「いい話がありますよ」と近寄っていく。高齢者の心理をよく知っているのが詐欺師です。

――オレオレ詐欺の手口も“日々進化”していますね。

「おばあちゃん俺だよ、俺!交通事故を起こしちゃって、相手が妊婦さんなんだよ」というのが以前は多かった。最近は、「会社のお金を使い込んだ」、「カバンを落とした」などと語るパターンが増えています。身内を装うという点は同じですが、ネタが多彩になっていて、本当にありそうな話を出してくる。詐欺師の頭は柔軟ですね。

 中小企業の経営者を狙う融資保証金詐欺や、医療費や税金の「還付金」を名目にしたものもあります。架空代金の請求では、若者に加え高齢者でも被害が増えてきています。高齢になって初めてパソコンを使うようになって、引っかかる様です。

――気をつけるべきポイントはどこでしょうか?

 まず、高齢者の方は自分が詐欺に遭うとは思っていない。つまり警戒心がまるでない。これは危ないことです。狙われていることをわかったほうがいい。個人情報は詐欺師側にわたっていると思った方がいい。詐欺師はニコニコ笑顔でやってくる。言葉遣いが丁寧で、身なりも奇麗。一見して詐欺師に見えるような人はいません。時代劇の水戸黄門の悪徳商人のような犯人はいないのです。

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