レオン・ラッセルが夢を実現させた遺作の聴きどころ (2/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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レオン・ラッセルが夢を実現させた遺作の聴きどころ

連載「知新音故」

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小倉エージ週刊朝日#小倉エージ#知新音故
ダミ声を発する“正体不明の怪人”で“ロマンチスト”のレオン・ラッセル

ダミ声を発する“正体不明の怪人”で“ロマンチスト”のレオン・ラッセル

レオン・ラッセルの新作アルバム『ラスト・レコーディング~彼方の岸辺で』

レオン・ラッセルの新作アルバム『ラスト・レコーディング~彼方の岸辺で』

 ただ、メアリー・マクリアリーと結婚し、デュオ・アルバムを発表したあたりから、人気が陰り、低迷期が長く続く。2010年、エルトン・ジョンと共演したアルバム『ザ・ユニオン』で人気が回復。14年発表の『ライフ・ジャーニー』も注目を集めた。

 そして新たに取り組んだのが今回の『ラスト・レコーディング~彼方の岸辺で』。ブラス、ストリングスによるオーケストラのゴージャスなアレンジが印象的だ。
 レオン・ラッセルはかねて〝グレート・アメリカン・ソング・ブック〟と称されるアメリカのスタンダード・ナンバーに関心を寄せ、永遠に歌い継がれる作品を手がけたいと願っていたという。スタンダード・ナンバーを集めたアルバムを発表したことはあった(02年の『ムーンライト&ラヴ・ソングス』)。彼の思いをオリジナル楽曲で実現させたのが本作だ。

 若き日に恋に落ち、今も一緒に生きている幸せを歌った「ザ・ナイト・ウィ・フェル・イン・ラヴ」。恋人と過ごせる喜びを歌った「インサイド・ザ・ナイト」。去っていった恋人への追憶をシャンソン風味で歌う「ラヴ・オブ・マイ・ライフ」。恋多き女への未練を描いた「イージー・トゥ・ラヴ」。失恋した自分を慰めるような「ザ・ワン・アイ・ラヴ・イズ・ロング」。

 いずれもスタンダード・ナンバーの王道を行くように歌詞は明快でドラマチックだ。メロディーは甘く、ときに物悲しく、ストリングスやホーンの調べがドラマを盛り上げる。レオンのダミ声や独特の節回しはそのままだが、物語の語り部のように冷静で、淡々としている。

 人前では決して正体を明かさなかったレオンだが、その実、ロマンチストであり、
それが本作のようなスタンダード・アルバムを生む発端にもなったと妻が明かしている。

 レオン独特のスタイルを維持しつつ、音楽性の幅の広さを明らかにする作品もある。表題曲の「オン・ア・ディスタント・ショア」はレイド・バックしたスタイルでトロピカルな趣も。ファンキーなスワンプ・ロック風の「ラヴ・ディス・ウェイ」、カントリー・バラード調の「ヒア・ウィズアウト・ユー」、17歳のレイ・ゴーレンのギターをフィーチャーしたブギ・ブルースの「ブラック&ブルー」などバラエティーに富んでいる。これらの曲は、往年のレオン・ファンを喜ばせるに違いない。


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