放送作家でコラムニストの山田美保子氏が楽屋の流行(はや)りモノを紹介する。今回は、ロレアルのヘアスプレー「エルネット サテンN」について。
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「ヘアスプレー、かけてもいいですか?」
スタイリングの後、テレビ局のメイクさんは必ず、こう聞いてくれる。
女性の場合、アップやハーフアップなどの“まとめ髪”のときはもちろん、前髪をサイドに流すときも、本番中、乱れたり落ちてきたりしないよう、ヘアスプレーで固めるのは常識だ。
けれど、冒頭のような問いかけがメイクさんたちの“お作法”であるということは、「ヘアスプレーが苦手」という人が、けっこう多いのかも。
恐らく、自分でスプレーをかけたときの失敗経験が、「苦手」と思わせているのだろう。あるいは、あの独特の香りだろうか。
しかし、出演者にとっては、もしかしたら演出陣にとっても、スプレーを使わなかったがために、本番中、髪が乱れるほうが大問題。
たとえばニュースキャスターや料理番組を担当する女子アナらの髪がちょっとでも顔にかかったり、上げたハズの髪が落ちてきたりすると、それは“お叱り”の対象となる。
以前、「髪を耳にかけてください」とメイクさんにリクエストしていた某局のベテラン女子アナに「珍しいね」と言ったら、やはり、“お叱り”に対応してのことだった。「たった1件のためにですよ」と、その女子アナは少々ご立腹だったが、正しい判断だろう。