テレビ番組は90年代から画面に情報量が詰め込まれる時代になった。しゃべった人の言葉をフォローするスーパー。左上サイドには番組のタイトルや企画趣旨。右上サイドには今現在やっていることなど。20~30文字ほどの情報が細かく詰め込まれて、途中から見る人にもわかりやすくなっている。クイズ番組であれば、問題文をどのように表示していくか、一番頭を悩ませるところである。80年代のクイズ番組と今のクイズ番組を見比べてもらうと、いかに画面一枚に情報を詰め込んで伝えようとしているかがわかるはずである。

 雑誌だってそうだ。昔の雑誌に比べて、レイアウトや情報量も格段に違う。

 そんなことを踏まえて選挙ポスターを見てほしい。情報量少ない! あれだけ幅取っておいて、伝えようとすることが少なすぎる。もちろん現在の選挙ポスターにはいろいろなルールや決まりもあるのだろう。だとしたら、その決まり自体、見直してほしい。

 電車内に貼ってある週刊誌の広告。あの大きさにどんだけ情報と文字があると思います?

 だから、選挙のポスターも候補者を知らせるだけのポスターなんじゃなくて、候補者の「メッセージポスター」とするのはどうか?

 今、伝えたいこと。もし受かったら? 日本をどうしたいのか? 雑誌の一流の編集マンが作ったら相当いいものが作れそうな気がするし、それが街中に貼ってあったら、信号待ちの間でももうちょっと「読もう」とする人が増えるのではないか?

 日本中のいい場所に貼りながら、今の時代に情報量が少なすぎる。選挙ポスター。そこから変えてみては!?

週刊朝日 2017年11月3日号

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鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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