日本でも、大学が生き残るには社会人学生の学び直しの場となる必要があります。大学院ではすでに始まっていますが、学部でも今後広がるでしょう。米国には地域密着のコミュニティーカレッジが多く存在し、自宅近くでの高等教育の場を提供しています。

 学生からみて、学びやすい大学かどうかも問われます。高校卒業時、学生の多くは何を専門にしたいかがまだよくわかりません。でも、学生募集は学部ごとです。教員の専門分野集団(ギルド)の枠組みが優先され、学生は学びたいことを自分のペースで探しにくい。私が副学長を務めた桜美林大は学部を撤廃して学群に改め、当初は幅広い科目を学べるようにしました。

 今や私大の4割は定員割れです。ただ、定員の80%ほどの学生がいれば経営は成り立つというのが、運営する側の実感でしょう。中学や高校を一緒に運営する法人も多く、そちらが安定していれば問題ない。定員の70%以下の水準が続くようであれば、相当な危機感を持ったほうがよい。

 大学改革の根幹は「大学の最大の受益者は学生」という点です。学生のための大学に変えるには、明確なミッションに加え、教員や職員のパッション(情熱)とアクション(行動)が求められます。そして、大学の活動や教育の質などを、受験生や保護者、社会に対して、しっかりと情報公開してほしいと思います。

週刊朝日 2017年10月27日号