求人情報サイト「バイトル」の佐賀野淳氏は、最近の人気の傾向として、独自の魅力があるカフェでの仕事、短期のバイト、新規店舗開業に合わせた募集の「オープニング案件」を挙げる。新店開業時だと入社時期が一緒で、先輩・後輩のわずらわしい関係が生まれにくい。友人と一緒に応募して働ける利点もある。

 バイト募集は、年齢も国籍も働く時間や日数も、どんどん多様になってきた。それも人手不足を解消するため。バイトの平均勤続期間は半年ほど。求人情報サイト「マッハバイト(旧ジョブセンス)」の遠藤太一氏は「採用側の企業が示す要件は下がってきている」と話す。

 日本商工会議所が中小企業約4千社を対象にした調査によると、回答企業の61%が人員不足だと回答。業種別にみると、宿泊・飲食が最も高く84%、運輸業74%、介護・看護70%と続く。

 人材確保の悩みは、国防を支える25万人の巨大組織・自衛隊も直面している。

「第一線で動く部隊に、優秀な人材を数多く集めるのが難しくなってきた」

 こう危機感を募らすのは防衛省人材育成課の担当者。「防衛白書」によると、募集対象人口(18~26歳)は、ピーク時の1990年代半ばの1700万人から16年度は1100万人に。好景気で民間企業の採用も引く手あまたなだけに、人材獲得競争が厳しくなった。

 定員充足率(17年3月末)は、約9割の「幹部」に対し、若い隊員が属する「士」は約7割。担当者は「離島奪回作戦で上陸するような部隊は、若くて精強な隊員が必要だ」という。

 自衛隊は「25万人広報官作戦」と銘打って、組織のPRと人材獲得に動く。昨年暮れの帰省時期、郷土の後輩や親類などを勧誘しやすいように、漫画冊子「自衛官への道」を3部ずつ隊員に配った。

 若者に部隊を身近に感じてもらおうと、各地の地方協力本部は、ゆるキャラも設定。自衛官募集CMには、女優で現役女子高生の駒井蓮さんを起用した。担当者は「若い人をどう引きつけられるか。ありとあらゆることをしないと」と人材獲得に必死だ。

「天神祭がいま、存続の危機にあります……」

 こう訴えるのは、大阪天満宮(大阪市)の禰宜(ねぎ)・柳野等さん。130万人も集まる日本3大祭の一つだが、懐事情は苦しいという。

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