<給食が不味いこと、異物混入があった件につきまして、皆様にご心配、ご迷惑をおかけしました事を深くお詫び申し上げます>
給食製造・販売会社「エンゼルフーズ」(東京都)が、「大磯町中学校給食報道について」と題した文書を自社のホームページに掲げ、こう陳謝している。
同社は2016年から、神奈川県大磯町の2中学校の給食を受託している。給食の実施は、14年の町長選でも争点の一つだった町民の関心事。しかし、町によると、虫や毛髪などの異物混入がこれまでに84件あった。食べ残しの割合(残食率)も平均約26%と、環境省調査の全国平均6.9%を大きく上回る。
この問題が報じられたのは9月14日ごろ。業者は同19日付で、中学校以外のほかの取引先の幼稚園約30園に対し、異物混入を説明する社長名の文書を送った。
冒頭でおわびの言葉を述べながらも、途中からはこんな表現が並ぶ。
<他の自治体の中学校給食のように(編集部注、家庭弁当との)選択制であれば、食べたくなければ注文しなければいいで済んだ話>
<当然給食開始当初から反対派の声も多く、一年半経った今、反対派からのリークによってこのような騒ぎになってしまいました>
まるで、逆ギレするかのような記述。業者の担当者は「あの文書はどういうことなんだ、と幼稚園から問い合わせがあった。実は役員が社長の事後承諾で出したものでした」と話す。内容を修正して、改めて文書を送り直したという。
一方で、町側も異物混入などを知りながら真剣に向き合ってこなかったとみられ、保護者らが反発した。
中崎久雄町長や野島健二教育長らが20日に会見を開き、経緯や改善策などを説明。10月末まで、給食と家庭弁当との選択制にする。
給食は大磯町の栄養士が献立と調理指示書を出し、業者が製造している。まずさの原因は、町か業者か。
業者側はこう説明する。「献立も調理方法も運搬方法も指定されている。現時点で、私どもではどうにもならない。改善の必要があるなら、栄養士や教育委員会と話さないといけない」
責任を押しつけあい、食べ残しだらけの給食が改善されない。こうした対応が最もまずいことは、間違いないのだが。
※週刊朝日 2017年10月6日号