漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏が、「FNS27時間テレビ にほんのれきし(フジテレビ系9月9日18:30~)の魅力について語る。
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ビートたけしが総合司会、村上信五がキャプテン(なんだそりゃ)を務めた「FNS27時間テレビ にほんのれきし」。生放送ではなくほとんどが収録だって、それ27時間もやる意味あるの?という疑問から、思わず見てしまった。フジテレビの罠か。
そもそもこの企画の始まりは、日本テレビの24時間テレビ「愛は地球を救う」のパクリ、いやパロディー的なものだった記憶。あちらがマジメなチャリティー番組なら、こちらは生放送でふざけ倒してやろうというノリだ。
たけしが明石家さんまの高級自家用車をぶっ壊したり、笑福亭鶴瓶が酔っぱらって下半身を丸出しにしたり。そんなハプニングも生放送ならでは、やったもん勝ちだった。
ただチャリティー番組は、マンネリ化しても一向にかまわないけれど、バラエティー番組のマンネリ化は致命的。27時間テレビ、ハナから賞味期限が短かったのかもしれない。そこで今回は「歴史」をテーマとして、ハプニングに頼らない録画収録にリニューアル。
そんな「そこそこ」を見ていてわかったことがひとつ。これ、やっぱり生放送じゃないとダメなんだって。長時間番組の醍醐味、それは出演者が刻々とやつれていく姿を見ること。勝手に27時間寝ないで憔悴してるだけなのに、なぜか達成感にあふれるフィナーレの顔、顔、顔。
ただマラソン走ってるだけで感動にすり替えるのが24時間テレビなら、ひたすらドタバタをやり切って果てるのが27時間テレビじゃなかったか。
今年のフィナーレなんてスッキリした顔の村上が、まるでレギュラー番組の最後のように「今回はこのへんでお別れです。さよなら!」って。「また来週!」て言うかと思ったわ。
唯一かつての27時間ノリを放ってたのは、たけし演じる火薬田ドンの爆発コーナーだ。その「やりすぎ」感が往年のフジテレビの懐かしい香り。来年からはドンさんコーナーだけ流せばいいんじゃないか。27時間もやらずに、30分で。
※週刊朝日 2017年9月29日号