放送作家でコラムニストの山田美保子氏が楽屋の流行(はや)りモノを紹介する。今回は、「くるくるドライヤー」について。

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「くるくるドライヤー」と聞いて「懐かしい」と感じる女性はアラフィフ、いや、アラカンヌだろうか。

 麻丘めぐみの“お姫様カット”の内巻きも、“聖子ちゃんカット”の顔回りのハネも自在に作れた「くるくる」は、“美容家電の走り”とも言うべき昭和の名品だった。

 が、ヘアアイロンが出現してからというもの、若い女性たちは、25ミリや32ミリ駆使して器用にスタイリングし、いつの間にか、主流はアイロンになった。

 10年ほど前だっただろうか。構成を担当していた番組で「くるくる」を紹介したところ、食いついてきたのは西川史子センセイ&おネエ軍団だけでビックリ。若い女性タレントらから真顔で使い方を聞かれて2度、驚いた。

 ちなみに、そのとき紹介した「くるくる」活用法は、日ごろの分け目とは逆に「くるくる」でブローすると、髪が劇的にボリュームアップするというもの。おネエの皆さんが興味津々だったのは、トップの薄毛に女性以上に気を遣っているためである。

 そして、「くるくる」愛用者と言えば男性アイドルグループも忘れてはならない。

 コンサートDVDの特典映像などで見るバックヤードで、それぞれがプラスチック製の小さなバスケットに「くるくる」を入れているのをしばしば見かける。

 
 汗で濡れた髪を乾かせると同時に毛流れを整えたり、毛先や前髪のスタイリングができたりする「くるくる」は、衣装替えなどの短時間にサッと整髪できる必需品。

 激増の一途を辿り、メンバー全員にメイクさんが付くワケではない女性アイドルグループにも最近は「くるくる」愛用者が増えつつあると聞く。

 発売されたばかりの最新機種のアタッチメントには、おなじみの「ブローブラシ」やトップが気になり始める中高年にはうれしい「ボリュームアップブラシ」などに加え、「サロンブローブラシ」が付いた。

 これは、浮き毛を抑え、くせ毛を伸ばすだけでなく、風で逃げやすい毛先までスタイリングしやすい、サロン=美容室での仕上がりが期待できるモノ。

「なぜ家では美容室のような仕上がりにならないのだろう?」という女性たちが抱いていた長年の謎を、このアタッチメントが解消してくれるというワケだ。

 もちろん「ナノイー」が髪と地肌をいたわってくれるし、冷風スイッチ付きなので温風でセットした髪を冷風でキープするプロのテクが自宅や出先で簡単に実現できるのだ。進化した「くるくる」に、お帰りなさい。

週刊朝日 2017年9月29日号

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山田美保子

山田美保子

山田美保子(やまだ・みほこ)/1957年生まれ。放送作家。コラムニスト。「踊る!さんま御殿!!」などテレビ番組の構成や雑誌の連載多数。TBS系「サンデー・ジャポン」などのコメンテーターやマーケティングアドバイザーも務める

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