限界国家に向かう日本の未来年表 (週刊朝日 2017年8月4日号より)
限界国家に向かう日本の未来年表 (週刊朝日 2017年8月4日号より)
10年ごとの人口の増減 (週刊朝日 2017年8月4日号より)
10年ごとの人口の増減 (週刊朝日 2017年8月4日号より)

 日本中がゴーストタウンになり、若者は消え、高齢者は見捨てられる……。人口減少で予想される悲惨な未来が、目前に迫っている。2022年に団塊世代が75歳の後期高齢者になり、日本は「限界国家」に向かう。社会保障は破綻し、人心は荒廃する。この国に残された時間は少ない。

【図表】10年ごとの人口の増減

 ある中国地方の市は、かつて市内に誘致した大学に頭を抱えている。若者の流出を防ぐためだったが、少子化で今や学生確保もままならない。地元議員は嘆く。

「定員割れが続き、経営に影響が出始めている。大学が潰れたら若者がさらに減るから、市としては何とか大学を存続させたい。施設費など、いろいろな名目で数千万円規模の補助金を出しているが、いつまで持つか……」

 こうした悩みは、全国の多くの地方の大学に共通する。国内で1992年に205万人いた18歳人口は、今や約120万人。近年は横ばい傾向だったが、2018年以降さらに減り続け、31年に100万人を割り込むと見込まれる。

 若者の減少は大学経営に直結する。日本私立学校振興・共済事業団の調査では、全国の私立大学の44.5%が16年度に定員割れ。教育情報を提供する大学通信の安田賢治ゼネラルマネージャーは言う。

「学生が集まらない私立大のなかには、自治体に経営権を渡して公立化する学校もあります。09年の高知工科大を皮切りに、8大学が公立化しました。公立化で学費が下がって受験者は増えますが、自治体の財政負担増は避けられません」

 都市部には受験者が増える有名私大もあるが、大半の大学は学生集めに奔走する。日本人だけでは運営に必要な人数を確保できず、留学生募集の説明会を海外で開く大学も少なくない。

 運営に行き詰まって破綻する大学はまだわずかだが、小中高校はすでに各地で統廃合が相次いでいる。
 日本国際交流センター執行理事の毛受(めんじゅ)敏浩氏は言う。

「文部科学省の調査では、02年度から13年度までに廃校となった小中高校の数は5801校。毎年約500校が消えています。15~64歳の生産年齢人口減少は10年以上前から始まり、通勤や通学に公共交通機関を利用する人が減りました。バス路線は06~14年度の間に年平均で約1600キロが廃止になりました。人口減少は『静かな大津波』となって日本を襲っています」

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