パリにたどり着けなかった……。P1哨戒機は厚木基地に配備されている (c)朝日新聞社
パリにたどり着けなかった……。P1哨戒機は厚木基地に配備されている (c)朝日新聞社

 海上自衛隊が保有する哨戒機「P1」は、「P3C」の後継機として開発された初の純国産機だ。米軍の「P8」と並ぶ機動力を誇る。6月19、20日には、世界的に有名なフランスの国際航空ショーに初めて参加。その高性能な装備を各国の航空業界関係者にお披露目するハズだった。

 2機のP1は日本を出発し、途中、ソマリア沖の海賊対策で派遣されている海自の基地に、整備・点検のため立ち寄った。ところが、2機のうち1機に機体トラブルが発生。ショーへの参加を見送るハメになった。「たどり着けなかったのは恥ずかしい」という政府関係者の嘆きの声も伝えられた。残る1機はパリへ向かったものの、現地では地上展示だけでデモ飛行は行わなかった。

 軍事ジャーナリストの清谷信一氏はこう指摘する。

「エンジントラブルの可能性も考えられます。P1は片側2基ずつの4発エンジンを搭載していますが、通常1万時間以上行う飛行試験を3千時間程度しか実施していない。政府がオスプレイやグローバルホークなど高い買い物をするから、整備費など予算が削られてしまっているのでしょう」

 現在、P1は厚木基地に11機配備されているが、2015年、16年と続けて訓練中にエンジン部品を破損、紛失する事故を起こしている。清谷氏は続ける。

「エンジンも国産ですが、米GEのような実績は国内メーカーにはない。P1は稼働率が低いともいいますが、理由はエンジンに問題があるからと思われます」

 やはり、今回もエンジントラブルか。防衛装備庁に問い合わせると、次のような回答だった。

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