「本人役を演じながらも、物語は映画でしかありえない展開になっている。だから、できあがったものを観ると、リアルとファンタジーの混ざり具合がいいなと思いました。だいたい横浜という街自体、現実感がないんですよね(笑)。香港とかシンガポールのように、瞬間瞬間変わっていく儚さがある。次に訪れたとき、その街並みはもうないような、ね」

 陽気なのか孤独なのか。熱しているのか冷めているのか。大人なのかガキなのか。その表現はいつも、一筋縄ではいかない刹那の感情が混ざり合い、甘さと苦さを同時に運ぶ。

「10代の頃は、28歳から32歳ぐらいを大人と設定していたのに、いつの間にかその年を追い越してしまった。僕自身もう30年、子供の心のまま肉体は大人、という未知の領域を進んでいる感じです(苦笑)」

週刊朝日  2017年6月30日号より抜粋