これほど大きな事業、巨額な金額を支出するのに、たった1日ですべてが完結している。通常の「お役所仕事」では考えられない手際の良さだ。

 一方、加計学園が申請した補助金。その<要綱>には補助金事業は<原則として競争入札>とされている。獣医学部の建設工事現場に張り出されていた設計者のSID創研は加計学園のグループ企業。建築を請け負ったアイサワ工業は、自民党・岡山1区の逢沢一郎衆院議員の従兄が経営している会社だ。

 また地元住民たちが建設費が高いとして加計学園に対し、たびたび大学の建築、設計に関する図面などの書類を公開するように求めているが、オープンになっていない。

「本当にきちんと入札が行われたのか、疑問」(前出の市民団体)

「県や市は当初、補助金は64億円が上限としていた。それがフタを開けてみれば、合併特例債など別財源で約30億円も上乗せしている。加計学園が千葉県銚子市に千葉科学大学を数年前、設立した際も、銚子市は約80億円を投じたあげく、財政破綻寸前まで追い詰められました。今治も二の舞いになるのではないか」(市議会関係者)

 加計疑惑はまだまだ燻りそうだ。(ジャーナリスト・今西憲之)

※週刊朝日オンライン限定記事

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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