それでも詩織さんは、闘ってゆくと話す。

「顔と実名を出すことに家族は反対しました。でも、性犯罪の被害に遭った女性が、なぜ隠れなくてはならないのか」

 共感する声がある一方で、中傷するネットの書き込みも相次いだ。

「覚悟はしていたが本当に苦しい。けれども、顔を出し、声を上げなければ、捜査組織や病院など社会の支援体制は変わらない」

 警察が逮捕しなかった理由などははっきりせず、疑惑は深まる。詩織さんの切実な声を、検察審査会はどう判断するのだろうか。

<詩織さん側が主張する経緯>
2015年4月3日 山口敬之氏と面会。午後8時過ぎに串焼き屋に入店。午後9時40分ごろ寿司屋入店
4月4日 午前5時ごろに痛みで目が覚め、ホテルでレイプされていることに気づく。記憶は寿司屋の途中から欠落
4月9日  警視庁原宿署に相談
4月11日 原宿署で高輪署の捜査員と面会
4月15日 捜査員とホテルで防犯カメラの映像を一緒に見る
4月30日 高輪署で告訴状受理
6月初頭 証拠がそろい逮捕状が発行される
6月4日 山口氏が帰国するタイミングで逮捕するとの連絡があり、詩織さんがドイツから日本に戻るよう要請される
6月8日 捜査員から、上からの指示で逮捕できなかったとの連絡がある。捜査員は担当から外れる
8月26日 山口氏が書類送検される
10月 詩織さんが担当検事と初めて面会
2016年1月 山口氏が担当検事と面会
6月 詩織さんが検事と2度目の面会
7月22日 山口氏が不起訴処分に
2017年5月29日 検察審査会に不服申し立て。詩織さんが会見

週刊朝日 2017年6月16日号