真木よう子に出演してほしい?「落語 THE MOVIE E」の魅力 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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真木よう子に出演してほしい?「落語 THE MOVIE E」の魅力

連載「てれてれテレビ」

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(c)カトリーヌあやこ

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 漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏は、「超入門!落語 THE MOVIE E」(Eテレ 月曜23:00~)の演出について、新たな可能性を感じる。

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 昨年から、NHK総合で放送していた番組が、解説コーナーを加えた構成で、Eテレに再登場。落語の映像化だけど、単なるドラマ仕立てではない。落語家の語りに合わせて、役者たちが口パクで演じる当て振り方式なのだ。

 その口パク具合がすごいのなんの。落語家の話しっぷりで挟まれる「うん」とか「あ~」とか「え~」とかまで、口パクぴったり。まず高座を収録して、あとから役者が合わせてるんだろうけど、こんな面倒くさいことをわざわざ実現しちゃう心意気が素晴らしい。

 これで浮き彫りになるのが、一人何役も演じ分けてしまう落語家の技術だ。例えば「お見立て」。吉原の花魁(おいらん)・前田敦子と、田舎者の客・塚地武雅、妓楼の男・梶原善の声が、同じ古今亭菊之丞師匠の声だってことに、まったく違和感なし。

「しょうがないねぇ、んもう~」なんて、いつもの前田あっちゃんのアヒル系ヴォイスよりも、ずっと艶っぽかったりして。婀娜(あだ)な姐さんのセリフに、あっちゃんの愛嬌あふれるおでこのアップがどーんって、なんなのこの笑いの新世界。

 以前、「初天神」で、生意気なガキを演じたのは鈴木福。めっちゃおっさん声(春風亭一之輔師匠)の福。「うえ~ん……て泣くと思ったら、大間違いだぞこの野郎っ!」と、おっさん声でドスきかせる福。子役という生き物を浮き彫りにしたような邪悪な表情がナイス福。むしろ福の本当の声ってこれなんじゃね?って思うくらいのいいコラボだ。

 そして「かぼちゃ屋」(春風亭一之輔師匠)では加藤諒が与太郎に。落語と言えば与太郎。馬鹿だね、間抜けだよ、この役立たず、と言われながらも愛すべき与太郎……って、こんな顔だったんかーい。思ったよりもアグレッシブ与太郎。もうね、その造作ひとつひとつに腹が立ってくる(いい意味で)という奇跡の顔。

 のんきな噺だけど、その顔のおかげでザワザワしてくる、まさにこれって五感で感じる落語?

 ポンポン小気味よく語られる噺の速いテンポ。噛まない、滑舌いい、棒じゃない。て、落語家の話芸のおかげで役者の演技力も、なんだか倍増し。ビジュアルはいいけど、声出すと残念至極……なんて役者は、落語MOVIE化してもらうといいよ。例えば「精霊の守り人」シリーズ(NHK)の真木よう子とか。

週刊朝日  2017年4月21日号


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カトリーヌあやこ

カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など。

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