千葉雄大/1989年生まれ、宮城県出身。2010年俳優デビュー。映画「殿、利息でござる!」で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。今年は「暗黒女子」「ReLIFE」「帝一の國」「兄に愛されすぎて困ってます」「亜人」と、出演映画が次々と公開に(撮影/写真部・岸本絢)
千葉雄大/1989年生まれ、宮城県出身。2010年俳優デビュー。映画「殿、利息でござる!」で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。今年は「暗黒女子」「ReLIFE」「帝一の國」「兄に愛されすぎて困ってます」「亜人」と、出演映画が次々と公開に(撮影/写真部・岸本絢)

 俳優の千葉雄大さんはある時期まで、「可愛いですね」と言われるたびに“ムズムズ”した。いちいち「そんなことないです」と否定していた20代前半を経て、ここ数年は、「昔は可愛かったと思いますけどね。お肌もツルツルでしたし(笑)」と開き直るようになった。

「デビューが20歳と比較的遅かったので、同世代の俳優の方たちと経験値が違いすぎて、イメージが固まってしまうことに焦った時期もありました。でも、ゆくゆくはそんなことも言われなくなるだろうし、もう流れに身を任せよう、と(笑)」

 現在28歳。30歳になるまでは、来るもの拒まずでいこうと決めている。今年は6月までに出演映画が5本公開されるだけでなく、連続ドラマに主演もしている。昨年下半期からずっと忙しい日々が続いているが、「寝る間を惜しんで仕事をするとか、休みが全くないとかではないので。もっと追いつめられてもいいぐらいです」と男っぽく話す。

「俳優としてだけじゃなく人間としても、一皮も二皮も剥けて成長するためには、精神や肉体が追いつめられる経験が必要なんじゃないかと思うんです。でも、自分で自分を追いつめる作業って難しくて……。芝居の世界でなら、監督が課題を与えてくれて、僕をほじくり回してくれることがある。そういう出会いがあると、すごく嬉しいですね」

 戦隊モノのヒーローでデビューしたとき、監督からひっきりなしに怒られた。言われたことの何ができていて、何ができていないかもわからない。今も当時の自分の演技を見るのは恥ずかしいし、出来の悪さに情けなくもなるが、作品自体は宝物だ。

「最初に厳しく指導してもらった体験があったからこそ、今も芝居に対して貪欲になれている気がします。こう見えて、あまり落ち込んだり凹んだりせず、悔しさをバネにするタイプで、どんなにつらくても、人前で泣いたことはないです。子供の頃から、男は人前で泣くもんじゃない、って躾けられてきたので(笑)」

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