(c)けものフレンズプロジェクトA
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 ネットの世界で爆発的に広がっている言葉遣いがある。

「すごーい!」「たーのしーい!」「あなたは○○なフレンズなんだね!」

 首をかしげる人も多いだろうが、「けもフレ構文」として流行中だ。発信源はテレビアニメ「けものフレンズ」。世界のどこかにつくられた超巨大動物園「ジャパリパーク」を舞台に、記憶を失った謎の主人公が、擬人化したアニマルガールたちと冒険する物語で、動物園や観光施設の集客につながるなど、ちょっとした経済効果も生んでいる。

 アニメはテレビ東京では1月から放送が始まり、3月28日深夜の第12話で最終回を迎えた。第12話の視聴率(関東地区)はビデオリサーチによると1.1%。深夜アニメとしては健闘したほうだが、何よりすごいのはネットの反応だ。

 動画配信サイト「ニコニコ動画」では、第1話の再生回数が3月31日時点で463万回を超えた。ツイッターやブログで感想を発信する人も続出。動画へのコメントの書き込み数も飛躍的に伸び、3月25日のニコニコ生放送「1話~11話振り返り一挙放送」では270万を超え、アニメスペシャルとして過去最高となった。

 テレビ東京の高橋雄一社長も3月30日の定例会見で、「ウェブの書き込みを見たが、ああいう形で大きな話題になり、盛り上がるのがいまのアニメのすごいところ。アニメ文化を考えるうえでも興味深い作品」と述べたと報じられている。

 人気の理由の一つは、幅広い層が安心して見られる作品になっていること。例えば冒頭の言葉は、主人公についてまわる「サーバル」ちゃんがよく使うものだ。ほのぼのした会話や場面が多く、視聴者からは「見ると和む」「癒やされる」といった感想が多い。

 一方で、主人公以外の人類が滅亡した可能性をにおわせるなど、物語の奥行きは深い。緻密な設定や意外なストーリー展開を好む、コアなアニメファンの心もつかんだ。

 動物の生態が細かく描写されていることも、評価されている。サーバルちゃんの場合、ジャンプ力が高く、爪が鋭いなどの特徴が描かれている。「ネコ目ネコ科ネコ属」と分類群の表示も入るこだわりぶり。ほかにもカバやトキなどたくさんの動物が登場し、楽しみながら動物の知識を得ることができる。

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