「脳梗塞」の治療法進歩も早期治療が大切とされる理由 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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「脳梗塞」の治療法進歩も早期治療が大切とされる理由

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週刊朝日#健康

とにかくすぐに救急車を (※写真はイメージ)

とにかくすぐに救急車を (※写真はイメージ)

 脳の血管が詰まり、まひや寝たきりの原因にもなる脳梗塞で、血栓を回収する療法の効果を示す科学的根拠が得られた。今、治療の進歩が著しい。

 日本で寝たきりになる原因の1位は脳卒中だ。脳卒中は大きく脳出血、くも膜下出血、脳梗塞に分けることができる。そのなかでも7割を占めるのが、脳血管が詰まる脳梗塞で、治療は時間との勝負になる。

 脳梗塞の治療ではまず、詰まった血栓を溶かす作用がある「t‐PA」という薬剤を点滴で注入する療法を検討する。しかし、t‐PA療法が有効とされる「発症から4時間半」を超えていたり、脳梗塞が広範囲にわたっていたりすると、同療法は使えない。

 このようなケースや、t‐PA療法で十分な効果が得られなかった場合、太ももの付け根の血管から脳血管に細い管(カテーテル)を通し、血栓を回収して血流の再開をめざす方法が検討される。兵庫医科大学病院脳神経外科の吉村紳一医師は言う。

「血栓回収療法にしても、原則として発症から8時間以内に開始することが求められています。とにかく患者さんを一刻も早く病院に搬送することが重要です。時間が経過し、脳が壊死した状況(梗塞)では手の打ちようがなく、重度のまひが残ってしまうのです」

 兵庫県在住の会社員・水谷隆さん(仮名・61歳)は2016年11月、いつものように出勤した会社で、突然、頭部に違和感を覚え、そのまま倒れてしまった。多くの同僚がいるなかで倒れたことが不幸中の幸いだった。救急車で、すぐに近くの病院に運ばれた。

 診察の結果、からだの右側に重度のまひがあり、言語障害や意識混濁もあった。MRI(磁気共鳴断層撮影)により中大脳動脈の閉塞が確認され、心原性脳塞栓症と診断された。

 MRIの画像から重症例と判断したこの病院ではすぐに、脳血管のカテーテル治療ができる兵庫医科大学病院に連絡し、水谷さんにt‐PAの点滴を打ちながら転送した。

 同院に到着後、水谷さんの症状に改善はみられなかった。MRIにより改めて中大脳動脈の完全閉塞が確認され、吉村医師はすぐにカテーテル治療を開始した。


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